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大切なモノ







「志紀…早く目を覚ませよ…早く…」


意識はないが、とても暖かく、年齢の割に細い手を持つ志紀の手を握りそう呟いた。



俺は今、とてつもなく後悔している。

裏切りを嫌い、何より傷付き一人になることを恐れていたこいつを…俺は裏切った。




とても大切にしていたんだ…。

抱き締めたら折れそうで、強気に振る舞い、自分の弱さを隠して生きてきた志紀を、物凄く愛していたんだ。


だから、安易に手を出すことも出来なかった。

一度触れたら壊してしまいそうで…怖かったんだ。



志紀が俺の目の前で車に跳ねられた時、体中の血が引いていくのを感じた。







志紀―…このままお前が、お前の意識が戻らなかったら俺は――…。


















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