Thanks!
【723へ】日課とニートと日常と
WRGPに向けて、Dホイールの整備を日夜行う遊星やブルーノ
その為の資金を稼ぐクロウと雪音
そして
…そんな貴重なお金を日々減らしていく人物が約一名
「雪音。ジャックがいないんだが見かけなかったか?」
『ジャックさんですか?見かけてませんけど…』
遊星に言われ、雪音が顎に手を宛て、記憶を辿ったがそこにお目当ての人物はなく
それを聞いた途端、遊星の後ろで一服していたクロウが机を強く叩き声を上げた
「ってことはアイツまた無駄遣いしに行ってやがんな…!!」
「…雪音も見かけてないなら…恐らく」
『え?…あぁ!』
一瞬話が理解できなかった雪音だったが、その答えは自然と頭に浮かぶ
あの働かずしてこのガレージにいる彼の事か、と
「雪音…すまないがジャックを連れ戻してきてくれないか?」
「アイツ俺らの言う事聞かねーし…頼んだ!」
祈願する二人の言葉を無下にする訳にも行かず
はたまたこのままジャックを放っておくこともできず、雪音はいつもジャックが向かうカフェへと足を向けたのであった
雪音がカフェヘと向かえば、いつものオープンテーブルに目立つ金髪
雪音はそれを見て思わずため息をついた
当の本人はそれに気付かずコーヒー…もといブルーアイズマウンテンの香りを楽しんでいる様子
そんなジャックに雪音はツカツカと歩み寄る
『…また飲んでるんですか?』
「!雪音か。丁度いい、お前もブルーアイズマウンテンを…」
『飲みません!クロウくんと遊星くんが呼んでますよ!!』
金を使ってる自覚があるのかないのか
その場を動こうとしないジャックに雪音は本日二度目のため息をついた
『そのお金、クロウくんと遊星くんが出してるってわかってますか?』
「それかどうした」
『それがどうしたって…』
ジャックの向かいの席に腰掛ける
側にいた店員が注文をとろうとしたのをやんわりと制し、雪音は改めてジャックに向き直った
『言ったら悪いですけど…ジャックさんはお金を稼いでる訳ではないんですよ?』
「俺に合った仕事がないのだと何度も言っている」
『だからって勝手にお金を使っていい理由にはなりません!』
ガタ、と雪音は立ち上がり、持参していた自分の財布を取り出す
雪音はテーブルの上に置いてある伝票を側にいた店員に渡し素早く会計を済ませた
こうして日々私の財布は空になるのか、と彼女思う
『帰りますよ!』
「なっ…!」
椅子に座っているジャックの腕に自分の腕を絡ませて無理矢理椅子から立たせる
密着した身体に毎回ジャックが赤面しているなんて、雪音は気付かなかった
日課とニートと日常と
(ジャックさん確保しましたよー!)
(おっ!ナイス雪音!!)
(いつもすまないな)
(いえいえ。もう日課ですし)
_
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!