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夜明け前(夜の続き)
散らばった服を身につけて自分もキッチンを探る。呆れるほどに食品がなくて、まだ深夜に近い時間帯だが転送装置を使う。
簡単な朝食が出来上がる頃には完璧に制服を着込んだPSICOM将校が現れた。
「なんで料理してるんです」
「宿代。ロッシュみたいに胃痛起こすぜ、コーヒーだけだと」
「…あれコーヒーどころの胃痛じゃないですよ。うちの上司とか警備軍とかその他諸々で」
「かもな。食えよ、冷める」
苦笑しながらすすめると僅かに卵をつつく程度に驚く。元々食が細いのは知っていたが、それでも人並み近くは食べていたはずだ。
「何、俺砂糖と塩間違えたっけ」
茶化すとゆっくりフォークが置かれる。
「いえ、美味しいですけど。夜食食べたし、あまり入らないのでやっぱりコーヒーだけ。食べてもらえませんか」
「ふうん」
白みはじめた室内では顔色がよく見えてあからさまな嘘と知れるが触れない。
「…もう出ます。これ、渡しておきますから好きにどうぞ」
「何?」
クレジットチップのように見えるが細部が違う。
「うちの鍵。1回だけロックの開閉できますから、好きなだけ寝ていってください」
じゃあ、と黒服の軍人は立ち上がる。
扉が閉まり、一人残される。
―5cm四方の金属片から見つけだしたのは軍吏の自宅ロックコードと、―エデン特別展望室ハッキングパス。


裏抜きでも読める、かな。多分。

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