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夜(差分)※R18
一瞬の接触。
離れた顔を見上げる。
「何もしないんじゃなかったか?」
「気が変わりました」
ソファが二人分の体重を受けてきしむ。膝に乗ってくる、同期によく似て、そして全く似ていない男。
「泣いても知らないぞ」
「できるものなら、どうぞ」
ガラス1枚越しの挑戦状を叩きつけられる。
「…知らないからな」
開戦だ。

「、いきなりっ…」
キスもそこそこに目の前にさらされた白い喉に歯を立てると慌てた声が上がる。
「もう泣きそう?」
上目遣いで覗き込んでやる。
「誰が」
ギッ、と普段なら音でも立てそうな眼差しは僅かに潤んでいる。
「じゃあいいだろ」
もう一度、今度は鎖骨に。
「うぁ、」
気を取られているすきに腰を引き寄せる。
軽いというか華奢だ。肉がつかず、すぐに骨の感触がすることに煽られる。服の上から手を添えるとそれだけで体が跳ねた。
「どうしてほしい」
「いちいち聞かなくても、」
じれたのだろう、自ら伸ばそうとする手のひらをとらえて舌でなぞる。
「や、」
涙が滲む。
「何、してほしい?」
落ちるかな?
「触っ、て、ください」
いい子だ。
「じゃあ俺のもな」
にこりと笑って、それから突き飛ばした。

「ん、…う、ん」
体温の低い粘膜に包まれる。口に含みきれなくなったのだろう、一度出して先端から舐めあげる。その間にも手を動かし、時折かけたままの眼鏡が当たって背筋がぞくりと粟立った。
長い前髪をかきあげてやると赤くした目元のまま上目遣いにこちらをうかがう。
「いい眺め」
うるさい、とでも言いたかったのか、離れようとしたところで後頭部をつかむ。どうしようか。
一瞬迷って押しつけた。
「ーッ!」
無理に喉を突かれて粘膜が震える。その振動にまた興奮して残らず注ぎ込んだ。
ようやく解放して飲みきれなかった白濁を口元から拭ってやると、茫洋と潤んだ瞳に光が戻りこちらを睨む。以前にもたまに見たことがある、なにか無茶苦茶に壊してやりたくなるような良くない色気だ。
「まだまだだろ?」

ソファの上に引き寄せて、背骨を辿る。
突き込むのに合わせてなぞってやるとおもしろいほどに体が跳ねて、悲鳴に近い嬌声が上がった。
「も、うや、あ、ああ、」
気紛れに前に手をやると、一度も触れられなかったそこはそれでも限界のようだった。根元をつかむとまた悲鳴が上がる。
「や、もう、」
顔を見てやろうと手を伸ばし、こちらを向かせるとぼろぼろと涙が零れ落ちた。肩越しにキスをして、飴玉のようにも見える涙腺が壊れた瞳を舐めようとすると、髪紐が当たるのが気になった。結び目に歯をたてて解く。
「ひぁ、」
ばらばらと首に背に髪がかかる。それにすら感じるようで組み敷いた体が震えた。
解いて、結び目に邪魔されなくなったのはいいが、今度は顔が見えなくなったことに舌打ちをする。びくりとした体から一旦引き抜き、仰向けにさせてまた突き込む。不安定にソファからずり落ちそうでしがみつかれる。
「や、」
「嫌じゃないだろ」
大きく足を開かせて一際深く。
「うぁ!」
せき止めていた手を動かすとすぐに白濁が散る。
気にせずさらに動けば直にまた嬌声があがる。
「ふ、ぁあ、やっ…」
涙で役に立っていないだろう眼鏡を引き抜くと、それでもさらに視界が奪われることが落ち着かないのかふらふらと手を伸ばす。適当に放り投げて手を縫い止め、葡萄色の瞳を舐める。
「あ、」
腰にわだかまる熱に気づいて叩きつける。
ほぼ同時に、互いの間にも熱い飛沫が散った。

「…眼鏡」
ようやく息を整えて、何を言い出すかと思えば余韻の欠片もなかった。
体を離し、床に落ちていたそれを拾い上げる。
「ほら」
「どうも。…ああ、最悪だ」
つい先ほどまで啼いていたのが信じられない言い草だ。
「あんだけぼろぼろ泣いててそういう?」
「自分の顔にぶっかけてみてから言ってください」
言いながら口元を拭う。
「うわ、それ勘弁」
「いいですけど。ああ、コーヒー入れてください。俺風呂入って来るから」
シャツだけ羽織って立ち上がると、どろりと流れ出る液体に体勢を崩す。
「コーヒーって、てか風呂も無理なんじゃねえの」
慌てて支えると振り払われる。
「どっかの寝場所探してた暇人と違って忙しいんですよ。早いって言ったでしょう、もうすぐ出る時間なんです」
再び、今度は手を借りずに立ち上がって白に近い銀髪がバスルームに消えた。


趣味全開!


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