W 相似 すいと前髪を掬われる。 「なんです」 「ん?別に」 別に、と言うわりに指は離れず、まじまじと見つめられる。 落ち着かない。 「お前の顔さ」 「女顔って?」 「いや、似てないな。全然」 誰と。聞くまでもない、従兄とだ。 「そっくりと言われるんですが」 「最初は傷の有る無しくらいかと思ったけど」額を辿られる。 「目つき悪いし、色も違うし」 眼鏡を取られる。 「それは失礼」 取り返そうと手を伸ばす。 「髪の色も違う」 後ろに手を回され髪を解かれる。 「ひ、」 動けない。 「ああ、首が弱いのは一緒か」 「うるさ…!」 力が抜ける。 もたれかかるとソファに押し倒された。 「どこが違うか確かめたいなあ、なんて?」 やられっぱなしが気にくわなくて、襟元をつかんで無精ひげの生えた顔を引き寄せる。 「へえ、積極的」 「うるさいですよ」 目は開けたまま。 5分後、家主である従兄により正座で説教を受けることになる。 リグヴィリinロッシュ宅(未遂) [*前へ][次へ#] |