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小説
26時(1000hit黒さまへ)
深夜の居住区は薄暗い。基本的に昼夜関係なく、三交代で勤務する騎兵隊だが、それでもやはり夜に当たる時間に人は眠りたくなるものらしい。地上と同じく昼間勤務よりも夜勤の方が疲れるという話はよく出る。リグディも同じく、遅番明けには泥のように眠りたくなる。
「お仕事完了っと」
扉にコードを打ち込み、ロックを解除する。室内は暗いが自室なので不自由はしない。ベルトキットを放り投げ、ベッドに倒れ込む。シャワーは起きてからでいいだろう。明日は夜勤なので昼にはかなりの時間がある。さあ寝てしまおう、と思ったのだが何やら妙な呻き声が聞こえた。
ベッドに手をつき起き上がる。
「……!」
まただ。
いや、ついでに妙な感触もする。固い、だが部分的に柔らかい。
……予想を飛び越えるものを見たら人は固まるものらしい。
さては美女の夜這いかと期待して明かりを点けると、
「重い。眩しい」
上官がリグディを睨みつけていた。

「……何してるんですか?」
「寝ていた。眩しい、明かりを消せ」
リグディが操作するまでもなく、レインズがリモコンに腕を伸ばして再び室内は暗くなる。
「あ、ども。
……って、いやいや。あんた自分の部屋あるでしょ。隊で一番立派なの」
「お前が遅いから」
「理由になってませんよ。どうやって入ったんですか」
「私は隊長だ。この艦に開けられない場所などない……お前が遅いのが悪い」
隊長権限で緊急時にしか認められないプライベートゾーンのロック解除を行ったのか。言いながらシーツに潜り込む気配がする。
「任務ですよ。しかもあんたが哨戒言いつけるから俺の中隊総出でボーダムなんて田舎まで。……ねぇ隊長」
「なんだ。私はもう寝るぞ」
「寂しかった?」
「……」
シーツが頭の上まで引き上げられる。笑い出しそうだ。
「そんなにしたら息苦しいんじゃないですか」
「黙れ、苦しくなどない。寂しいわけもない」
「ああそうですねぇ」
「信じていないな」
言いながらどんどん丸くなる。
「……ネコ」
「今なんと言った?」
怒られるかと思ったのだが本当に聞こえていないらしい。
「なんでもないですよ。ところで俺も眠いんですけどベッドに入れてもらえますよね?」
「……」
丸くなったシーツが少しめくられる。
「どーも」
「狭い」
「将官のベッドに比べりゃね。あんた明日遅番でしたっけ?」
「そうだな」
「出るときに起こしてください。んじゃおやすみなさい」
「上官を目覚ましに使うとは」
レインズがリグディを起こさなければならない理由などない。それでも明日の昼には渋々と言った風に覗き込む上官の顔が見えるのだろう。
「……おやすみ」
良い夢を。



翌日
部屋の空調が壊れたんならなんでさっさと直さないんですか
お前の部屋のは壊れてないと思ったからだ
あんたねぇ……

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あきゅろす。
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