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虹蛇
4p
 日下部がいたずらにトマトジュースに入れたウォッカ。
 天谷はそれにすっかり酔っ払ってしまっていた。

 ブラッディメアリー、トマトジュースとウォッカのカクテル。
 天谷はそれをずっと飲み続けている。
 天谷はすっかりブラッディメアリーにハマってしまった様子だった。

「んーっ、んんっ……トマトジュース、おいしい。日下部ぇ、もっと」
「天谷、もういい加減にしろ、グデングデンじゃないか」
 天谷に引き換え、日下部の酔いはすっかりと冷めていた。
「やっ、もっと、もっと欲しい」
 天谷は長い前髪に人差し指に絡ませながら上目遣いに日下部を見る。
 天谷を見る日下部の胸は高鳴る。酔いが回った今の天谷は、実に色っぽかったのだ。
「まだグラスに半分残っているだろ、それ飲んだらもっとやるから」
「うん、わかった」
 天谷は頷き、震える手でグラスを掴むとブラッディメアリーを口に含む。
「天谷、垂れてるよ、拭けよ」
 天谷の唇からブラッディメアリーが滴っている。
 日下部がティッシュを一枚取り、天谷に渡す。
「ん、日下部、拭いて」
「はぁ? お前、な、なっ、なに言ってんの? 自分で出来るだろ!」
「出来ない、んっ」
 天谷は目をつむり、日下部の方に唇を突き出した。
(まじか、この状況は一体なんなんだ? 誰かの陰謀か? ベターが過ぎる!)
 日下部は恐る恐るという風にティッシュで天谷の唇を拭った。
「うっん。ありがと、日下部」
 天谷が少し照れ臭そうに、にこりと笑った。
(うっ! こいつ、か……可愛い)



 天谷は自分が土産に持ってきたポテトチップスをつまみにして、ブラッディメアリーと日下部をからかうのを楽しんでいた。
 自分の言動に対して、日下部からどんな反応が返ってきても、天谷は楽しそうにしている。
 天谷は、日下部に、ポテトチップスを、パリパリとわざと音を鳴らして食べて床に落としそうになって怒られたり、グラスをクルクル激しく回して中身をこぼしそうになって行儀が悪いぞと度々注意を受けたりした。
 その事全てに天谷は笑って日下部に返した。

 天谷の目は潤んでいる。

 狭いソファーに天谷と日下部は二人で並んで座っている。
 天谷は日下部の肩にもたれかかって、たまに日下部に甘える仕草をする。
(天谷が俺にくっつくとか、こんな事、初めてだよな。どうしたらいいんだ)
 天谷の体の熱を感じながら日下部は複雑そうな顔で天谷を見る。
「ふっ、日下部っ」
「な、何?」
「んんっ、日下部」
 天谷が甘い声で日下部の名前を呼ぶ。
(うっ、落ち着け、俺)
 天谷が顔を日下部の肩に、まるで子猫が甘えているような仕草で擦り付けた。
 日下部は鼓動を早める胸を押さえて天谷を引き離そうとする。
「あっ、バカっ、離なすな!」
 天谷が日下部に抱きついた。
「うっわ! お前、なっ!」
 二人はソファーに倒れこんだ。
(こいつ、酔うとこんな……普段と態度違いすぎだろ。ヤバすぎる)



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