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たぶん、止める人は誰もいなかった
※グロ、カニバリズム







水色のヒーローに夕食に誘われたのが4時間前。
時間通りに彼の自宅のインターホンを鳴らしたのが10分前。
何の反応もなかったので不法侵入を試みたのが5分前。
そしてつい先ほど、血まみれのヒーローが何かを咀嚼しているのを見つけた

彼の周りには血だらけの友人達。

カドルス

ギグルス

ペチュニア

ナッティー

トゥーシー

スニッフルズ

ランピー

リフティ

シフティ

ハンディー

モール

フレイキー

全員、死んでいた。

よくもこれだけの人数を殺せたと、素直に感心してしまった。
扉の前に立っている俺にようやく気付いたスプレンディドは、口に含んでいたものを飲みこんだ。
「やあ軍人くん、君も食べるかい?」
そう言って、さっきまで食べていた何かを差し出した。
「遠慮しておく。俺にはそんな趣味はない」「残念だ。とても美味しいのに」
そしてもう一度、俺に差し出したモノを食べ始める。
がつがつと貪るようにして、やがてソレは骨だけになった。
「ごちそうさまでした」
口の周りを血で染めて、彼は笑顔で手を合わせた。
「…誰の腕だったんだ?」
「フレイキーのだよ。とても柔らかくて美味しかった」
「他には誰のを食べた?」
「ランピーの腕とハンディーの足、それとカドルスの内臓。どれも美味しく頂かせてもらった」
悪びれもせず、まるで料理評論家のように言い放つ。
「町を救うヒーローの正体は食人鬼でした、ってか…。狂ってるな」
「何を言ってるんだい軍人くん。狂ってるのは君だろう?」
「お前ほどじゃねぇよ」
そうだ。
俺は狂ってない。
少なくとも、目の前にいるコイツよりは。
「俺のことも喰うつもりか?食人鬼さん」
「私は食人鬼などではない。ヒーローだ」
「んなことどうでもいいんだよ。お前は俺を喰うのか?それとも、喰わないのか?」
「どちらかと言えば『喰べる』だが…君はそう簡単には喰べさせてはくれないのだろう?」
「当たり前だろ?腐れヒーロー」
腰のホルダーからナイフを取り出す。
手持ちの武器は、ナイフが数本と手榴弾がひとつ。いざとなれば奴もろとも、手榴弾で家ごと爆発させる。
どうせ明日には生き返るのだ。
自爆しようがバラバラに吹き飛ぼうが、どうとでもなる。
手にしたナイフを握りしめる。
相手は人外の英雄。
久しぶりに愉しくなりそうだ。

さあ、晩餐の始まりだ

(お前になんか喰われてやらない)



title 不在証明
09.09.15

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あきゅろす。
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