この世界はフィクションです
※微グロ
血溜まりの中に立つ彼は、
とても脆く、とても儚く、
いまにも崩れ落ちそうだった。
風船の破裂音か、火薬に似た匂いか。
もしくは誰かが流したほんの少しの血。
どれが原因かはわからないけれど、
どれかが原因でもう一人の彼が出てきてしまった。
もう一人の彼は殺すだけ殺して帰って行った。
残ったのは黒い瞳の彼と、無惨な姿の子供たち。
首を切り落とされた子。
目と脳髄をえぐり出された子。
人だったのかどうかすらわからないくらいにぐちゃぐちゃにされた子。
彼と遊んでいた子供たちは皆、絶命していた。
子供たちの残骸の真ん中に立つ彼は、
その黒い瞳からとめどなく涙を流している。
どうせ明日には、何事もなかったのかのように生き返っているのに。
彼は自分を責め続ける。
どうして殺してしまったのか、と。
ハッピーツリーが作った偽りの町。
死んでも死なない紛い物の命。
他の世界から隔離された空想の世界。
それなのになぜ、君は心を痛めるの?
この世界はフィクションです
(こんな世界に涙する 君はとても とても優しい)
title 不在証明
09.09.15
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