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風邪をひいた日
風邪をひいた。
原因はきっと昨日の雪合戦。
体のつくりは人間と一緒なので、
『神だから風邪をひかない』なんてことはなく、二人揃って高熱をだした。
「黒…」
「なに…?」
「ノド痛い…」
「じゃあ…喋るな…」
会話するにも一苦労。
影が出せず、なにもできないのでマスターズの世話になっているのだが…
「馬鹿だな」
「バカとしかいいようがないね」
「バカは風邪ひかないって聞いたけどなぁ」
「“バカは死んでも治らない”っていいますしね…」
奴ら、言いたい放題である。
(上から順に、カタツムリ、Kaeru、P-cat、いぬ千代)
「お前ら…後で覚えてろよ…」
隣で寝ている神は悪役のような台詞を言い残して気絶した。
どうやらかなりの高熱のようだ。
正直、オレも限界が近い。
「辛いなら寝ときなよ」
それとなく察したのか、Kaeruが優しく言った。
「でも…」
「仕事のことは心配せずにゆっくり休んで」
「たまってる分は俺たちで終わらせておくから大丈夫だ」
いつもは厳しい男性陣の気遣いが心に染みる。
素直に嬉しかったが、オレが心配していたのは仕事のことではない。
もっと重大なことだ。
ついさっきまでいた紅一点が姿を消している。
彼女は不安要素でしかない。
「P-cat…は…?」
「「「……。」」」
寝室を静寂が支配した。
ニコニコと微笑み続けるKaeru。
どこか遠くを見つめているカタツムリ。
明らかに挙動不振になるいぬ千代。
彼らの反応で、これから起こるであろうことを予測できた。
「おまたせ〜!!」
土鍋を手にしたP-catが部屋に駆け込んできた。
「P-cat特製、スタミナ豊富お粥だよ☆」

差し出された土鍋には


赤い液体と


原型を留めていないなにかと


黒く焦げた米らしき物体


が確認できた。

「MZDと黒神のために作ったんだ。いっぱい食べてね」
P-catはそれはそれは可愛らしく微笑んで土鍋を差し出した。
頑張って作ってくれたのだから断るのは気が引ける。
でも、まだ死にたくない。
「食べないの?」
ここは無難に断ってみることにした。
「ゴメン…食欲、ない…」「そっか、食欲ないなら仕方ないね」
多少の罪悪感は残るものの地獄を見ずに済むことに安堵した。
「MZDも寝てるし…残すのはもったいないから、ツムリンにあげる!!」
謎の物体Xはカタツムリの手に渡った。
「え、いや…俺は…」
断りきれないカタツムリは目で助けを訴えた。

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