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不意打ちアクシデント
猫の手も借りたいほど忙しいポップンパーティーの準備中。
神は心底いらつていた。
「ごめん、間違えた」
「テメー何度目だと思ってやがる!!」
手伝いというよりは邪魔をしてくる黒神に対して、
ものすごくいらついていた。
会場を飾るために用意した様々な道具。
それらはダンボールに入れられて高く積み上げられている。
黒神が担当するのは
「ダンボールの中から必要な物を取り出して飾り付ける」
という比較的簡単な仕事。それなのに飾る場所を間違えたり
まったく違うものを飾り付けたりと失敗ばかりしていた。
「なんでテメーは、ついさっき言われたことを忘れるんだよ」
「めんどくさいから」
「理由になってない」
「影にやらせた方がいいんじゃね?」
「影は別の部屋で仕事中だから無理」
付け間違えた星の飾りを取り外して地面に降り立つと
黒神のすがすがしすぎる笑顔が目についた。
「この部屋にはオレらしか居ないんだよな?」
「そうだけど、それがどうかしたか?」
笑顔のまま迫り寄る黒神。
…嫌な予感しかしない。
慌てて後退る俺。
ふいに背中に堅い物が当たった。
後ろを向くとダンボールの山。
いつのまにか部屋の隅にきていたらしい。
逃げ場は…ない。
後頭部を掴まれて互いの顔が近づいた。
「影が居ない今なら、キスとか出来るよな?」
耳元で囁かれた言葉に対して鳥肌がたった。
「寄るな変態!!」
俺は渾身の力で黒神を突き飛ばした。
反抗されるとおもっていなかった黒神は
勢いよく後ろにとんでいった。
…そこまではよかった。
突き飛ばした反動で
ダンボールにぶつかってしまった俺の真上に
衝撃に耐えられなかったダンボールが
バランスを崩して落ちてきた。
影が居ない今、身を守る術はないに等しい。
俺は痛みを覚悟して目をつむった。





「……?」
予想していた痛みはなかなかこなかった。
不思議に思い恐る恐る目を開く。
「いってー…」
目の前には俺をかばう黒神がいた。
「っ……!大丈夫か!?」
「破壊神なめんな。これくらい平気だ」
そう言って黒神はダンボールを抑えたままの状態で顔を近づけてきて、
「――!?」
キスをした。
「守ってやったんだからこれくらいはいいだろ?」
頬が紅く染まっていくのが自分でもわかった。
「うわ…めちゃくちゃ可愛い…」
「っ―この馬鹿神!!」
「ぐほぁ!!」
結局、驚いた俺が黒神を殴り
二人して仲良くダンボールの山に埋まってしまい
しばらくして様子を見にきた影によって助けだされ、
二人して説教を喰らうはめになった。





08.07.15

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