[携帯モード] [URL送信]
星に願いを
七月七日 七夕

短冊に願い事を書くなんて女々しいことだと思う。

でも口に出しては言えないから。

言葉にできない想いは

紅く揺らめく炎の中で燃え尽きて

薄暗い空へと昇っていく。


神と二人で短冊が燃え尽きるのを見届けた。

「黒神は何を願ったんだ?」

「お前には教えてやらない」

「ケチ。
些細なことなら叶えてやってもいいんだぜ?」

「叶えて貰わなくても結構」

―もう願いは叶っているから

七夕の短冊には様々な願いが込められている。

それが燃えてゆくのを眺めていた。

「黒神は何を願ったんだ?」

「お前には教えてやらない」

「ケチ。
些細なことなら叶えてやってもいいんだぜ?」

「叶えて貰わなくても結構
 お前こそ何を願ったんだ?
オレが叶えられそうな願いなら叶えてやるぜ」

「お前なんかに叶えられるような願いじゃねぇよ」

―だってそれは

簡単に叶えられるようなものじゃないから






本当は知っている。

いままでも、これからも

二人は同じ事を願っていることを。

何年経っても、

何十年経っても、

何世紀経っても、

同じことを願っている。



『いつまでも一緒にいたい』



神が自分の願いを叶えることは

許されないことだけど

この想いだけは

このささやかな願いだけは――




08.07.06

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!