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Oh!My?Son!?
息子、お手伝い
「ナツル……」
「行こう、シズマ・・・」

アカデミーに入るかどうかと言うような子供が二人、自分たちの家を見上げて涙ながらにそこを後にした。





ことの始まりは今朝、仕事帰りの3時過ぎのことだった。
両親同様、ずいぶんと早い成長を遂げている子供たち。
気配を消すのも一級品な両親の気配にも、気付いてしまう腕前だった。

どんなに眠くたって、大好きなパパさんとママさんが帰ってきたら、一番にお帰りって言いたい。
そんな思いで、子供たちはいつからか、毎朝両親を出迎えていた。

本日もそれは変わることなく、家に降り立ったふたつの気配。
互いに顔を見合わせると、喜々として玄関へと駆けた。
けれど少し様子がおかしい。
玄関先に突っ立って、なぜか中に入ってこないのだ。
どうしたのだろうと、兄弟の顔を見ながら首を傾げる。

それに気付いてるだろうに、それでも中に入ってこない両親に焦れたシズマがとてとてと走ると、玄関の扉を開け放った。
ナツルがじっと、その先を見つめる。
そこに居たのは、大好きな母親の肩にもたれかかっている、青ざめた顔の父親だった。子供たちの目が見開かれる。
それに気付いた母は、しまったと言うように言葉に詰まった。

「ナツル、シズマ……っ!」

爆発するように急激に膨れ上がったシズマのチャクラ。
それはすべてを拒絶するようで、バチバチと音を立てている。
ナツルは真っ先にシズマに駆け寄り、ぎゅっと抱きしめた。
ナルトも、シカマルを腕に抱きながら、そっと我が子たちも腕に抱く。

「大丈夫、パパは大丈夫だよ、シズマ。聞いて、ね?少しだけ、毒が抜けきってないんだ。しばらく安静にしてれば、大丈夫だから・・・な、落ち着いて」
「シズマ、俺を見ろ。俺の声を聞け。俺の策を、実行してくれるんだろ?」

耳元で囁かれる大好きな人の声。
優しく、甘やかなそれ。
だんだんと頭がクリアになっていく。

ああ、そっか。
また、暴走してたのか・・・
どこか他人事のようにそれに気付いて、落ち着かせるように大きく息を吐いた。
自分に回された腕をきゅっと握って、ふわりと微笑む。

「ママさん、ナツル、ごめんね。だいじょうぶ・・・」

シズマの声を聞いて、二人は張り詰めていた息を吐いた。
シカマルがうっすらと目を開くと、ゆるく微笑んでシズマの頭を撫でる。
それに気付いたナルトはぎゅっと、その首に抱きついた。
子供たちもぎゅっとその胸に飛び込んだ。



寝室にこもってしまった両親を扉の隙間からそっと見守る子供ふたり。
昼の任務はなんとか、二人分都合を聞かせる事が出来たらしいけれど。
夜はさすがにそうはいかない。

シカマルを置いて、ナルト一人で暗部任務に出なければならないと言うこと。
それどころか、シカマルは解部にもいかなければならなかったのに。
ちらっと互いを見つめると、同じ事を考えている事を感じて、こくんとうなづいてそっと扉を閉じると家から飛び出した。

玄関を飛び出したところで、少しだけ不安になる。
自分たちが居ない間に、悪化したりしないだろうか。
母が思い詰めたり、寂しい思いをしたりはしないだろうか。

「ナツル……」
「行こう、シズマ・・・」





暗号解析部。
そう書かれたプレートの掲げられた部屋の前にふたり、場にそぐわぬ子供が立っていた。
互いの顔を見合うと、こくんと頷いてその扉を開け放つ。

「子供・・・?」
「なんでこんなとこに」
「誰かに似てないか?」

自分のデスクにへばりついて静まり返っていた室内、そこへの意外な訪問者で一気に辺りはざわめき立つ。
そんなこともお構い無しに、ふたりはぐるりと一度だけ室内を見回した。
一番奥、ひときわ立派なデスクに腰掛けている人物を視界に納めると、とてとてとそこへと向かう。
少しばかり気おされたシズマが、ナツルに寄り添って手を握り締めた。

「あんたがここの長?」
「そうだけど、どうしたんだい?」

大きな青のつり目で睨むように見上げられた解部長は、書類の山から顔を覗かせる。
子供たちを視界に捉えると、疑問符を頭に浮かべた。
自分に出来る限り、優しくなるよう心がけて対応したつもりだ。
口元が引きつっていたけれど。

「手伝ってやる」
「だからしばらくの間、パパさんを休ませてよね」

果てしなく上から目線のつり目と、怯えていたはずなのに命令口調の子供。
こんな子供に何が出来るのだ、と額に青筋が走る。
こんなガキの挑発に乗るような大人気ないまねはしないと、それでも引きつった笑みを繕う。
けれど、ナツルの一言で泣け無しの大人げも音を立てて崩れ落ちた。

「こんなのも解けないのか……」
「はぁ・・・これじゃパパさん、可愛そう」

偶然ぱさりと落ちた紙片。
それを覗きこんだ子供たちが言った言葉。
次いで可愛そうなものを見るような目で見てくるのだ。

それならば、と。
できるもんなやってみろやクソガキ。
中指でもおっ立ててやろうかと言わんばかりの様子で、解部民たちからの挑戦状が叩きつけられた。



「次」
「はい」
「ナツル、これ」
「じゃあシズマはこっち」

すばらしいコンビネーションもさることながら、彼らの仕事は目を見張るものがあった。
解部内でもっとも頭が良いと噂されている影月のデスクに二人で収まると、自分たち以上の速さで暗号を解いていく。

シズマのほうが、ナツルよりも若干劣っている。
だがその分、シズマはサポート上手だ。
それに長年連れ添ったパートナーかと見紛う程に息があう。
これには先ほどまでの怒りや妬みなど通り越して、感嘆の声しか出てこない。

影月を父と呼ぶだけある。

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あきゅろす。
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