Oh!My?Son!?
息子、できました
ポンと肩を叩かれて振り返ると、ヤケにいい笑みを携えた親父がぐっと親指をたてて涙を流した。
「祝!初孫!!」
「ハァッ!?」
Oh!My?Son!?
混乱しながら引いていく思考を引っ張り戻したナルトは、すぐさま状況を把握しようとする。
目の前には涙を流しながらも、どこか満足げにやり遂げた表情の父親。
とりあえず、肩に乗っている手を叩き落とす。
その後ろには影分身の父親が2人。
その腕には、白い布の固まり・・・赤ん坊を抱いていた。
「ハァッ!?」
本日二度目。
未だに泣いている親父を殴り飛ばすと、後ろに控えている赤ん坊を覗き込んだ。
金の髪と吊り気味な青目、鼻立ちもよく見たら誰かさんにそっくり。
明らかに、自分とシカマルの子供だとわかる。
冷や汗を浮かべながらも、もう一方の布も捲ってみた。
黒い髪と丸っこい黒目、頬の三本線こそないが、自分そっくり。
それどころか、赤ん坊はナルトと目があった途端ほにゃんと笑うのだ。
そっくりじゃないか。
「おいコラ、てめぇ……何しやがった」
どちゃりと地面に這い蹲っていた父親を無理矢理おこすと、襟首を締め上げる。
げほげほなんて咽せた親父を睨み付けると、逃げないように壁に押しつけた。
けしてこいつの体重に腕力が追い付かなかった訳ではない。
ギリギリと締め付けるけれど、ミナトの顔はあまりにしまりがなく、幸せいっぱいと言わんばかりにだるんだるんだ。
情報を聞きだせる状況にはとてもじゃないが、見えない。
ナルトは舌打ちすると、印を長々と組み上げ、ミナトを吹っ飛ばした。
赤ちゃんを影分身から奪い取ると、そのまま影分身も吹っ飛ばす。
すると、今まで笑っていた赤ちゃんの顔がくしゃっとゆがむ。
ヤバイ、と思ったのと同時に、赤子二人分の泣き声が耳を突き刺した。
「あ〜・・・と、とりあえず……シカ?」
彼ならこの状況をなんとかしてくれる、するはず、というかしろ!
藁にも縋る思いとでも言うのだろうか、ナルトはシカマルの所へと向かった。
奈良家の敷地へと近づくと、わずかに感じる見知った気配。
そっか、帰ってきてたんだ。
これはいい判断をしたかもしれないと、ナルトは大喜びで速度を上げた。
「シカァ!母さん!ヨシノさん!助けてぇぇぇぇ!!」
ナルトの半泣きの声なんて初めて聞いた面々が、ぽかんとナルトを見つめる。
しかしすぐ後に、彼の腕の中で彼以上に泣き喚く二つの存在に気付く。
シカマルが驚いている間に、さすがは現役母親と言ったところだろうか。
クシナとヨシノがそれぞれ、一人ずつ子供を抱いてあやし始めた。
その腕前はまさしく一級品。
赤子たちはみるみる大人しくなっていく。
クシナに抱かれた赤子はきゃっきゃきゃっきゃとはしゃぎ、ヨシノに抱かれた赤子は幸せそうにふにゃんっと眠りについている。
里トップで里最凶な子供の母親なのだ、赤子などお茶の子さいさい。朝飯前。
見事な手際だった。
「あら?よくみたらこの子、ナルちゃんに似てるわねぇ」
「ホント!ほら、ここなんてシカくんそっくり。可愛いわぁ♪」
その言葉にハッと我にかえったシカマルは、急いで赤子に駆け寄ってその顔を覗き見る。
たしかに、初見はナルトだ。
けれど見て行くと、自分に似ているところもしっかり見つかる。
もう一方はその逆だった。
・・・ん?
シカマルは首を傾げると、奥で未だそっぽを向いて固まっているナルトに微笑みかけた。
「ナル?説明、してくれるよな?」
「も、もちろん・・・?」
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