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欲したのは目が眩むほどの陽の光
進路
「日向はやっぱり、レベル高いな」
「犬塚、油女は、その能力だけでも評価できる」
「幼馴染ってこともあって、シカ、山中とチョウジとの連係もいいよね」
「リーは体術の伸びがいい、が……まだ忍としては劣る、か」
「うちはは性格的に、マンセルが苦手」

互いに資料を見やりながら、現状の報告をしあう。
二人が彼ら同期の教師も始めてから、すでに半年ほどが経っていた。
この半年でのアカデミーの成長は目を見張るほどのもので、ほとんどの生徒は既に卒業できるレベルになっている。
けれど彼らは許可をだして居なかった。

生徒たちの卒業は、彼らに任されている。
火影を脅し・・・もとい、お願いして自分たちに全権を委ねてもらったのだ。
その代わり、火影の望みどおり、自分たちも最低5年は通ってやるとの誓約済み。
今までと変わらず面倒に思うけれど、今では教師のことを餌に、仕事を減らすことに成功したのだから悪いことばかりじゃない。

それに今年の生徒は名家旧家含め、実力者が幸運にも豊作なのだ。
こいつらがいっせいに中忍上忍、そして暗部まできてくれればずいぶんと楽できるだろう。
あとたった4、5年のこと。
自分たちは若いどころか、幼いと言っても良い年なのだから、今は少しくらい苦労しておこうか。
老後の平穏の為に、なんて如何にも子供らしくないことを二人は考えていた。
もちろん、彼らの言う老後は、おそらくあと10数年〜20年後からのことだろう。

「さて、これでいいかな?」
「ああ、問題ないだろ」

互いを見詰め合うと、ニッと口端を吊り上げる。
そんな彼らの手には、新クラス編成と書かれた紙が握られていた。



「イルカ先生居るー?」

金の子供が教員室に窓から降り立ち、きょろきょろと辺りを伺う。
それに次いで入ってきた黒髪の子供は、金の子供の頭に手を当てて一方を見た。
その先は、イルカが二人へと振り返ったところだった。

「どうした、ナルト、シカマル?」
「気付いてたのに呼ばなくてもいいだろ、めんどくせー」
「だって、目の前に急に現れるより、ワンクッションあったほうが心臓にいいんでしょ?」

誰に聞いたのかはわからないけれど、彼が珍しく正論を言ったのだから合えてシカマルは突っ込まないで置く。
そのまま二人してすたすたと、他の教師人の注目をものともせずに、イルカへと一直線に歩いていった。
他の教師も、自分には目もくれない生徒二人を叱り付けることもなく、さっさと自分たちの作業を再開しだす。
それと言うのも、彼らは特別だから。
教員室に入るのも許されているし、彼ら教師と同等以上の権力を里の長から与えられているのだ。
そんな二人の担任であり、裏では部下であるイルカは二人の性格もほぼ把握していた。

「クラス編成、変えようかと思って」
「基本はもう終わったようなもんだしな」
「クラス編成を?」

二人が差し出したファイルを受け取ると、その内容を確認して行く。
そこには、彼らが受け持つことを許されている生徒、すべての情報が集まっていた。
その一番上に、予定クラス表が添えられている。
ぺらぺらと読み進むと、クラス表で浮かんだ疑問はすぐに真実となった。

「これ・・・」
「あ、やっぱ気付いた?」
「三種類の専攻クラスに分ける」

そう、彼らの調査によって、生徒たちは大きく三つに選別されていた。
機動力や忍術、体術など、前線向きなクラスA。
医療や探索、防衛に向く、後衛向きなクラスB。
諜報や追跡等と、情報系に強い、補助向きなクラスC。

その中でも、生徒個々に伸びそうなところ、この半年で伸びたところ、彼らの興味の先、元々の素質がわかりやすくまとめられている。
それらを一通り見やると、イルカは感嘆のため息を吐き出した。
相変わらず、この二人の頭脳や観察眼には驚かされる。

「いいと思う思うが・・・彼らが本当にこの道を選ぶか、進路調査をしなくていいのか?」
「うんだから、イルカセンセ、やってよ」
「めんどくせぇから、そう言うのは俺たちはパス」

二人の子供の発言に、多少苛立つ部分もある。
けれどこれはもう、慣れてしまえばなんてことはない。
彼らのこれは標準装備であるし、それ以前にこれだけの情報を調べてまとめろと言われるよりは、何倍も楽な作業だ。
彼らにとっての『簡単』がイコールイルカの『簡単』とは限らない。
彼らが面倒と思うのは、対人関係が多い。
それと言うのも、自分たちの速度に追いつけない人間を相手するのが面倒だからなのだろうけれど。

「わかった。が、別の道に進むことを希望する生徒が居たらどうするんだ?」
「イルカ、俺たちのモットー忘れた?」
「楽しく、楽して、だろ?」
「そ!」
「そういうことか・・・」

可愛い生徒たちの将来が彼らの手に握られていることに、どこか遠い目をしながらイルカは盛大すぎるため息を吐き出した。
よろしくねーなんて手を振るナルトと、その後を付いて行くシカマル。
悪魔二人を見ていると、この里の将来が見えた気がした・・・

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あきゅろす。
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