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欲したのは目が眩むほどの陽の光
忍たる者
「どこで間違ったのかな、シカマル」
「この里に生まれたことじゃないか、ナルト」

二人は唖然とした面持ちで、里をぼんやりと見つめていた。



彼らが同期を伴ってアカデミーを卒業したのはもう、随分と前のことのように思う。
同期たちは彼らの教えどおり、しっかりと成長していた。
教師たちのレベルもあがり、これからのアカデミー全体もいくらかレベルが上がることだろう。

そして期待していた中忍試験、上忍試験。
彼らはたしかに期待通り順調に進んでいったし、暗部に所属しているものも居る。
なのになぜ、自分たちが楽にならないのか。
彼らは愚痴りあっていた。

里を見渡せる火影岩の上に腰を下ろし、忌々しい狸の顔岩に酒瓶を投げつける。
見事に砕け散ったそれは、中の液体を剥げ頭へと散らした。
それにケラケラと笑い声を上げて見るけれど、気分は一瞬で元の位置へと沈みこんだ。

「ちょっとさ、この里を壊すのもありだと思うんだ」
「だれにも咎められないだろうな」

だんだんと会話の内容は危険な方へと流れて行く。
にぎわう里を見ていると、彼らの殺意は増すばかり。
ちょっと、俺たちの仕事でも押し付けてやりたい。
むしろお前ら全員、今すぐ忍の任務やって来いやと言ってやりたい。
里人が死のうが、俺たちの知ったこっちゃないと。

「あ゛ー・・・シカ、最後にデートしたのっていつだったっけ」
「30分以下を抜かすと、1月以上前」
「甘えてい?」
「もちろん」

小首を傾げて問うたナルトに、シカマルはすぐに頷く。
その顔は誰でも見とれてしまうほどに甘やかで、とてもやわらかなものだった。
ナルトはふにゃりと嬉しそうに笑うと、にじにじとシカマルに寄りそう。
こてんと頭を倒すと、シカマルの肩に摺り寄った。
大好きな人の香りに包まれ、嬉しそうに瞼を下ろす。
シカマルも幸せそうに、ナルトの腰を抱き寄せながら綺麗な髪を撫ぜた。

およそ1分半。
たった1分半後、仕事を知らせる鳥が彼らの傍を旋回する。
俺たちを監視でもしているのだろうか、あの狸は。
イラッと来た二人は、更に互いに密着して鳥など視界に入れないように甘い空気を漂わせる。

三十秒経っても鳥は飛び続けている。
それどころか、だんだん近づいてきていた。
ウザイことこの上ない。
一ヶ月ぶり、いやそれ以上に久しぶりな、恋人との時間をなんで仕事に邪魔されないとならないのか。
イライラは募るばかりだ。

互いを見詰め合うと、顔と顔を寄せて行く。
唇が触れようとした所で、その鳥はシカマルの頭に突っ込んだ。

もちろん、二人してそれは避けたけれど。
鳥は二人の間に降り立って、睨みつけている。
やっぱり、彼女をつけてよこしたか・・・
二人はため息を付いた。

「もうっ!!あんたたちがこういうことばっかしてるから、私はあんたたちの呼び出しのたびに、こんなことさせられるんだから!その上にどうして、あんたたちのラブシーンを見せられなきゃならないのよ!?私だって、今、チョウジと居たのに!」

だんだんと涙声になって行く。
こうなってくると、少しばかり罪悪感が・・・生まれる彼らではない。
ぺんっと鳥を平手で吹っ飛ばすと、イライラを隠そうともせずに火影室へと向かった。

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