欲したのは目が眩むほどの陽の光
暇つぶし
「レベルが低い」
「ああ、低すぎる」
アカデミーの授業中、チョークの音だけが支配する教室に二つの声が響いた。
その言葉に教師の額に若干の青筋が浮かび、生徒と共にばっと彼らを振り返る。
声の主の二人を見た途端、教師の青筋すら引いてしまった。
その二人は、確かに自分たちよりもレベルが上だったからだ。
それによくよく考えて見れば、彼らの言っているレベルとは自分の教え方云々と言うよりは、教科書や授業の内容と聞きとれる。
「これだから木の葉の忍は年々層が薄くなっていくんだ」
「俺たちが忙しいはずだよな」
盛大なため息が響き渡り、教室に共鳴する。
子供たちは困ったように目を寄せ、どこか縋るように教師と教科書を見比べた。
自分たちは彼らの言うように、このままではいけないのだろうかと不安がよぎる。
教師も教師で、それではどう教えたらいいのかと焦りが生まれた。
そしていっせいに二人に戻ってきた視線に、二人は顔を見合わせる。
それならばと、新しい遊びを思い付いたかのように二人が口端を吊り上げた。
「俺たちが卒業するまでの間、」
「お前たちを最低中忍レベルまで鍛え上げてやる」
「教師にはその指導力を、」
「生徒にはその実力を」
『必ず授けてやるよ』
そう言った二人は、少し待ってろと一瞬にして消え去る。
生徒たちと教師はどよめきながらも、けれどなぜか彼らの帰りをおとなしく待っていた。
「なあ、じいちゃん。いいよな?」
「未来の忍の実力アップだしな?」
里トップの二人に詰め寄られると、三代目火影も言葉を返せない。
冷や汗混じりにどうしようかと思案してみると、結局は自分にも里にも良いようにしか思えなかった。
けれど考えれば考えるほど、彼らが利益もなしにそんな面倒なことをするとは思えない。
何か裏があるのだろうと思うと、やっぱり素直に賛同しかねる。
とはいえ、彼らが武器を構えて詰め寄ってくるのは、あまりの恐怖だった。
それ以前にこの子達は、孫同然に可愛がっている子たちだ。
たまの(否、しょっちゅうかも知れない)我侭くらい、聞き届けてやりたい。
三代目火影は深くため息を吐き出すと、引きつる顔を無理やりう顔へと戻した。
「・・・わかった。許可しよう」
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