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欲したのは目が眩むほどの陽の光
ペット
「ペット飼ってみたい!」
「は?」
「いや、あの、ナルくん??九尾は?」
「ダメ!あれペットじゃないもん!行こ、シカ!」
「は??」





「やっぱりペットは犬だと思うんだ」

にっこりと笑ったナルトは、町で捕獲したカカシを引きずって犬塚家へと乗り込んだ。
シカマルははぁとため息ひとつ、頭痛がしてきた頭を抱える。
けれどナルトの眩しいくらいの笑顔を前にすると、どうしてだか他は心底どうでもいい。
いっそもう、ナルトが望むのなら犬塚家の犬と言う犬をすべて連れ帰ったって構わない。

ナルトはガンガンと玄関を叩くと、繋がれている犬に笑い掛ける。
カカシは既に諦めたのか、大人しく捕まっていた。
そしてその周りには彼の忍犬が集っていて、犬塚の犬とにらみ合っている。
玄関からではなく、裏庭の方から現れたキバに飛びつこうとしたナルト。
シカマルは急いでキバを蹴り飛ばすと、その腕にナルトを抱く。

「あれ?シカ?・・・って、キバなんでそんなとこで寝てんの」
「ぶぇ、別に・・・」

地面と口付け。
見事に地面にめり込んでいるキバを見やったナルトは、かわいらしくこてんと首を傾げる。
シカマルはキバなど視界にも入れずに、ナルトを抱きしめながら同じように不思議がっていた。

キバはイラッと彼を睨みつける。
あれは無意識なのか、恋……間違えた、故意なのか。
どっちにしろ、愛……じゃない、相変わらずナルト以外見えちゃいないらしい。
頭に来る事この上ないが、こう何年もこいつらと一緒に居れば慣れもする。
そのまま愛犬を抱き寄せ、ナルトを見上げた。

「んで、何しに来たんだ?」
「犬貰いに来た!」
「・・・は?」

だからともう一度言いなおしたナルトは、かちんっと固まったキバを無視して辺りを散策し始める。
どれがいいだろうかと、庭中に居る一族の犬たちを物色していた。
ぐるんっと振り返ったナルトは、にっこりと天使の如き笑顔を浮かべている。
隣には魔王すら裸足で逃げ出しそうな人物を携えて。
怖い事この上ない。
全身から汗が吹き出して行きそうだ。
赤丸はきゅぅんと鼻を鳴らすと、キバの後ろへと隠れ潜む。

「やっぱ赤丸だよな!」
「ああ、そうだな」

なっとかわいらしく振り返って首を傾げると、シカマルはすぐさま同意を示す。
その瞳は獲物を狙うように煌いていて、今すぐとって食われてしまいそうな気がしてきた。
ぶるりと震え上がっていると、ナルトもくるんっと振り返って同じ目を向けてくる。

「に、逃げるぞ、赤丸!!」
「きゃん!!」

彼らは今まで生きてきたうちで、最もすばやく走り去って行った。
あえて追おうとしないナルトを見て、シカマルもその場に留まる。
ナルトはにっこりと微笑むと、ぐるりと辺りを見回した。

「これでここの犬、全部俺のだよね?ついでにあそこで逃げようとしてるカカシの忍犬も」
「そうだな」

びっくぅ!!と跳ね上がった犬たちは、ナルトが一歩踏み出すたびにその何倍も遠ざかって行く。
ナルトはぷうっと頬を膨らませた。
仕方ないと、カカシに目を向ける。
ぺっと手を差し出すと、ちょこんと首を傾げた。

「それちょーだいっ♪」

カカシはひきつった顔でちらりと忍犬たちを振り返る。
忍犬は必死に顔を左右に振ると、今までにないくらいに主人に甘えた。
ナルトはそれをうらやましげに見つめ、もう一度かわいらしく繰り替えす。
後ろの般若に、犬たちは失禁寸前。

「な、ナルト?こいつらじゃ、お前につりあわないんじゃないかな〜?」
「そうかな?どう思う、シカ?」
「確かに、どれもつかえそうにもないな」
「でしょ!?ね、ナルト!他のが良いと思うよ!!」
「えー・・・うーん」

シカマルの蔑みですら、今のカカシは援護ととっていた。
何が何でも、この小悪魔と般若から大事な忍犬を守りぬくと。
ナルトはじーっと忍犬たちを見つめながら、うーんと声を上げる。
しばらくすると、すっくと立ち上がった。

「そうだね。そんなごみ、いらないや☆行こ、シカ!」
「ああ」

スタスタと歩いて行くナルトの背に、忍犬たちと同時にほっと胸をなでおろす。
たとえなんと言われようと、あの二人から解放されたのならそれで構わない。



「じゃあ、蛇とか!ナメクジは気持ち悪いしー、カエルも飽きたし。よし、決めた!大蛇丸のトコ、行こ!」

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あきゅろす。
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