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あなたの月で在るがために
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今日も今日とて、光陽は忙しい任務の合間に、シカマルと修行をしていた。
最近では結構打ち解けたのか、光陽が知らぬ、初歩忍術をシカマルが光陽に教えている。
それと言うのも、シカマルの成長は目を見張るものがあった。

あれからまだ半年ほどだが、大体のことは覚えてしまっている。
後はそれを放つだけのチャクラ量だろうか。

ひとつ問題だったのが、光陽がこの頃知る忍術はほとんどが、光陽ほどのチャクラ量がなければ放てないようなものばかりだったのだ。
なので最近のシカマルの修行内容は、いかにチャクラの最大量を増やすか。
そして光陽は、同じ術をいかにチャクラを節約して放つか。
互いに実りある時間になっていたために、その修行がいつだろうと、どこだろうと、互いに大して苦にはならなかった。

そんなある日のこと。
少し休憩、と木陰に腰を下ろしたシカマルを見て、光陽も無言で隣に立つ。
木に背を預けた光陽を見上げ、シカマルは意を決した。
今日までの日に集めたたくさんの情報、そして光陽の状態、現在の状況。
シカマルはごくりと唾を飲み込むと、光陽を見上げた。

「なあ。いい加減、隠し事、やめねぇか」

それに驚いたのか、光陽は一瞬だけ、目を見開く。
光陽と半年の時を共に過ごしたシカマルでさえ、それに気づけた。
余程のことだったのだろうかと、早計だったのだろうかと、不安がうずまく。

光陽はしばらく、視線を彷徨わせて黙り込む。
シカマル自身も、自分からはどう切り出せばいいのか考えあぐねて、光陽の出方を待った。

「・・・・・・何に、気づいた?」

長い長い沈黙の後。
シカマルが、いい加減あきらめて取り消そうかとした時だった。

光陽は静かにつぶやき、シカマルへと視線をむける。
その瞳が揺らいでる気がして、シカマルは言葉に詰まった。
けれど、そこで嘘を言ってはいけないことくらい、理解している。
こんな顔をさせてしまったのに、それをやめさせたいからなんて理由で、嘘を答えていいはずがない。

「お前が実際は子供かもしれないってこと。お前の中に何かが居て、それはたぶん、里を襲った九尾だろうってこと。そしたら、お前は・・・うずまきナルトっていう奴じゃないかってこと」

その答えは当たっていた。
もうほとんど知られていたのだ。

光陽はまた、口を噤む。
覚悟を決めるのだ。
すべてを話し、相手の反応を待つための。
自分に敵意を向けなかった数少ない人を失う、覚悟を。
・・・そしてもしだめだったら、彼を始末若しくは自分に関するすべての記憶を消す覚悟を。

「そこまでわかって居るのか」
「変化とかして、調べまくった」

たとえ彼だろうとそこまで簡単なことじゃなかったはず。
光陽はぐっと手のひらを握り締めた。
知識に貪欲な彼のこと、すべてを知りたいのだろう。
憶測や、人越しではなくて、本人から。

「・・・すべてを、話そう……」

解印を結ぶと、そこには金の髪を揺らす小さな子供が立っていた。
しかしその表情はやけに大人びていて、確かに光陽なのだと瞳が継げている。
強き意思の宿った、光陽の瞳だ。





忌々しい事実、汚らわしい事実……ナルトは自分の知る、すべてのことを話した。
シカマルはその間、いくつかの質問を混ぜながら、しっかりと話を聞く。
一字一句、逃さぬようにと。

そしてすべてを話し終わった頃、ナルトはそっとシカマルの様子を伺った。
嫌悪の表情を浮かべていたら、どうしようかと。
しかしそんな思いを、彼は裏切った。

シカマルの表情は、新しい本でも読んだあとのようにすがすがしいものだったのだ。
謎が解けた、新しい知識を得たことが嬉しい、秘密が減って嬉しい。
たったそれだけ。
一番予想とは違うけれど、一番理想系だった。
そして漠然と思う。

「シカマルで、よかった」

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あきゅろす。
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