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かなしいね(芥川)
「うっ、ひっ、じ、じろー…」
涙をポロポロと溢れさせて俺に縋りついてくる君を見るのはもう何度目だろう。君は昔からずっと俺のことを頼るね。俺はその回数分だけ心の中で泣いてきたんだ。だっていつも君が泣くときは俺じゃない他の誰かを想ってるときなんだ。
「じろー、」
「ん?どうしたの?」
「私の何がいけなかったのかなぁ…す、好きだったのよ、」
「うん、」
「好きだった、の…」
知ってるよ、君があいつをすごく好きだったこと。俺の心は潰れてしまうほど苦しかったから。でもね、俺は君が誰を好きになろうと君のことだけが好きなんだ。他の女の子のことも可愛いと思うよ。ふわふわしてるし、いい匂いだってする。だけどどんな子でも君にはかなわないんだ。
「じろー、じろー…」
何回も何回も俺の名前を繰り返すその癖まだ直らないね。それでいいよ、ずっと俺の名前を呼んで俺だけを見て。そうすればもう涙なんか流さないで済むよ、だって俺が幸せにしてあげるから。
「泣かないで、」
「じ、ろー…」
俺だって泣かないで済むんだよ。ね、だから俺を好きになって。いつも君の傍にいる俺に気づいて。
かなしいね
(痛いんだ、心が)(好きだよ、君が)
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