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呆れるほど鮮やかに(千石)
ひどく曖昧に、ヒロイン視点
彼が私に好きと言ってきたのは雨が降る寒い冬だった。彼、千石清純は女の子が好きでよく声をかけてるから私もその対象になったのだと思った。そしたら千石くんは、違うと言った。本当に私が好きだと。そして月日は、寒い冬は暖かい春に変わった。
「なんで今日は、ナンパしないの?」
それは珍しいことだった。あの女の子大好きの彼がその日一人にも声をかけていないのだ。クラスの女の子達もひどく驚いているよう。
「どうしてそれを…」
「クラスの女の子達が騒いでたから。」
「そっか。あのね、なまえちゃん。俺はなまえちゃんが好きだよ。」
「……」
「俺、女の子はみんな大好きだけどなまえちゃんは特別。特別大好きなんだ。」
だからね、なまえちゃんが少しでも好きになってくれるような男になろうと思ったんだ。
「カッコ悪いよね、おれ。」
「うん、そうね。」
私の為なんかに自分の好きなことをやめてしまう彼は格好悪い。けれどそれを言い切る彼はとてもかっこ良かった。
呆れるほど鮮やかに
(笑う彼に恋していたのは私の方)
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