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奨学金の誘惑



曇り一つない晴天が澄み渡っている今日この頃、かの有名な氷帝学園で一人の少女がまあなんとも悲惨な出来事に遭遇していた。


「はっ?今なんとおっしゃりました。」


「ふむ。だから君に我が男子テニス部のマネージャーをやってもらいたい。」


「嫌ですよ、大体なんで私なんですか。」


「君はとても優秀な生徒だ。学園内で人気のあるテニス部を騒がない。それに成績や委員会活動から見ても一目瞭然だろう。」


「いや、それは…」


家が貧乏でこんなバカでかい学校のバカ高い授業が払えないから奨学金貰うために仕方なくやってるだけで。大体テニス部の人達なんてただわかんないだけだし。


「やってくれたら卒業まで奨学金を成績関係なく続けることを約束しよう。」


「やらせて頂きます。」


これは10分前の太郎とのやりとり、私は今激しく後悔していた。


「ああ、やだよ。やりたくないよ。」


なんであんな事言っちゃっただろう、やっぱ金?うんそうだよね。もとより奨学特待生だったとはいえ無条件で奨学金ってのとは違うしもう無理して勉強とかしなくていいんだ。


「ああ、でもやっぱやりたくないよー。」


私は自分の独り言にクラス全員がドン引きしているのも気付かず昼休みまでうんうん唸っていた。


「あんた、何をそんなに唸ってるんですか?」


「ん?あ、若だ。どうしたの?」


「辞書借りにきました。ところでどうしたんですか?遠目で見てても怪しすぎですよ。」


「ああ、はい辞書。実はね。」


若に今日太郎に言われたことを全部話した。


「はあ、それはなんというか馬鹿ですね。」


「そんなにはっきり言わないでよ。」


今のグサッときたわ。まったくこれだから最近の若者は、思いやりに欠ける。私も最近の若者だけど。


「大丈夫ですよ。」


「え?」


「うちの部はかなり変人が多いですけど、なまえ先輩もかなりの変人ですから。」


「元気づける気ある!?」


若の奴、いつもの優等生な先輩でやればいいじゃないですか?なんて簡単に言って去りやがって。あれにどれだけの労力が費やすと思っているんだ。まぁ、とにかく今はどうやって放課後逃げるかを考えよう。




























奨学金の誘惑
(テニス部部長って誰だ?)



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