狼さんに気をつけて(継草様へ)
柳生家の朝はいつも、長男比呂士の溺愛する長女なまえへの注意から始まる。
「いいですか、なまえ。誰かが家に来ても出てはいけませんよ。」
「あい。」
「お母さんときちんと一緒に居るのですよ。」
「あい。」
「それから…」
「ひろくん、時間は大丈夫なのー?」
「はっ、もうこんな時間ですか。ではなまえ、兄様は行って来ますが言いつけは守るのですよ。」
「あい!にいさまいってらっしゃいです!」
「行ってきます。」
こうして、柳生家の朝は終わりを告げるのでした。そう、いつもなら。
「あらっ、ひろくんたらお弁当を忘れてるわ。どうしましょう…」
比呂士くんは慌てていたのでしょう。いつもはしない失態をおかしてしまいました。
「かあさまー、どうちたの?」
「なまえちゃん、あのねひろくんがお弁当を忘れてちゃったのよ。」
「それはたいへんです!なまえがとどけにいくです!」
「なまえちゃんが?」
「あい!なまえできます!」
お母さんは不安でいっぱいでしたが、なまえちゃんのやる気に押され頼むことにしました。
「気をつけてね。」
「あい。いってきます!」
なまえちゃんが比呂士くんの所へ向かっている頃、反対側の道から朝練習には到底間に合わない一人の立海テニス部員がゆっくりと歩いていました。
「くあ…あーだる…もう間に合わなか、言い訳何にしちゃろ。」
全くもってやる気がありません。たらたらと大通りに差し掛かった時、一人の女の子が彼にぶつかったではありませんか。
「あててて…あっ、あっとごめんなさい…」
「俺は大丈夫じゃけぇ、お前さんは怪我してないか?」
ひょいっとぶつかって来た女の子を抱き上げる立海生。
「俺は仁王雅治ナリ。」
「やぎゅうなまえです!」
立海生の名前は仁王雅治くんでした。そしてぶつかってきた女の子は、そう、なまえちゃんです。
「まさはるさまはにいさまとおなじおようふくをきてるです。」
「まさはるさまって…にいさま、お前さん兄ちゃんが居るんか?」
「あい!あっそうです、なまえにいさまにおべんとうをとどけなきゃ!」
「なぁ、なまえ。にいさまってもしかして立海に通っとる?」
「あい、そうです。にいさまはりっかいのてにすぶにいるです!」
「そんならおいちゃんも一緒じゃ、連れてっちゃる。」
「きゃー!」
さっきまでのやる気のない雅治くんとは打って変わって、ものすごいスピードで立海に向かっています。肩車されているなまえちゃんはとても楽しそう。
「着いたぜよ。」
「こら仁王、たるんどる!」
雅治くんがテニスコートに着いた途端、渋顔のテニス部員と思わしき人がやって来ました。
「こんなに時間に遅れて、何をしておったのだ!」
まるで鬼のような顔で怒鳴る彼はかの有名な鬼の副部長真田源一郎くんです。そんな彼に雅治が言い訳を言おうとすると。
「ち、ちがうです!あのあの、まさはるさまはわるくないです。なまえがぶつかってしまって、ここまでつれてきてもらっちゃったから…だからまさはるさまはわるくないです!」
なまえちゃんは必死に源一郎くんに訴えます。雅治くんは悪くないと。すると、騒ぎに気付いたのか何人かのテニス部員がやって来ました。
「あいつら何やってるんだよぃ?」
「さぁ?」
「なまえ?なまえー!」
その中に比呂士くんも居ました。なまえちゃんは比呂士くんに名前を呼ばれたのに気付いたのか声のする方へ顔を向けます。
「なまえ!どうしてここに…」
「にいさま!はい、おべんとうです。」
「まさかこれを届けるために。」
「にいさま、なまえちゃんととどけられました!」
「偉いですね、なまえは。」
比呂士くんは感動してしまいました。それもそうでしょう、愛してやまない妹が自分のためにお弁当を届けてくれたのですから。きちんと届けられて良かったですね、なまえちゃん。その後は部活を中断してなまえちゃんの自己紹介が始まりました。みんな可愛いなまえちゃんにメロメロです。何故だかその間なまえちゃんはずっと雅治くんのお膝の上に乗ってたのが気になりますが。これにて、なまえちゃんのおつかいは終わるのでした。
「なまえー、まさくんって呼んでみて。」
「あい、まさくん!」
「ちょ、仁王くん!」
狼さんに気をつけて
(なまえは渡しませんよ!)(手強い敵じゃ)
-あとがき-
柳生家族夢ということで書かせて頂きました。
如何だったでしょうか?
リクエストしてくださった継草様とはリアルに友人で、私が柳生夢がなかなか書けないと知りつつの柳生夢をリクエストです。鬼畜ですね、はい。
今回も柳生があまり出てこない話になってしまいました。仁王くんがでしゃばりすぎですね…orz
ヒロイン(妹)が敬語でロリなのは完璧私の趣味です。
書き直しはいつでも致します。
気軽にお声掛け下さい(^^)
継草様、26000hitリクエストありがとうございました。
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