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すれ違い愛(莉代様へ)



大好きだった人に別れを告げた。彼には好きな人が居たから。私と違って可愛くて優しい彼とはまた違う意味で私の大好きな親友の優奈が彼は好きだった。私は彼にずっと片思いをしていた。遠くから見ているだけで幸せな日々。それなのにある日突然彼に告白された。びっくりした、まさか彼が私のことを知ってるなんて。同時にすごく嬉しかった。毎日が楽しくて幸せでしかたなかった。でもそんな日常も長くは続かなかった。彼が何かを熱心に見つめていることに気がついた。話してる時も授業中だって見つめていたのだ、優奈を。それに気づいた時、悲しかった。苦しかった。でも私は彼と別れたくなくて、彼女、というポジションにいつまでも居た。それがどんなに滑稽でもそこに、彼の隣に居たかった。


「私、ね…仁王くんのこと、好きなんだ…」


優奈からの突然の告白。呆然としてしまった。だってそうでしょう。優奈はいつだって応援してくれて仁王と付き合うことになった時も一番に喜んでくれたのは優奈だった。なのに優奈は仁王が好きで、仁王も優奈が好きで。そんなのないじゃない。私が邪魔者だったなんて。そしてその日の放課後、たまたま仁王と仁王の友達が話してるのを聞いてしまった。


「そういえばさ、仁王ってなまえと付き合ってるんだろ。どう?」


「どうもこうも、もうあかん。我慢が切れそうナリ。」


「何だよそれ!」


「限界じゃ、限界。」


あははははと笑い合うその声がやけに遠くで聞こえた。私はそこにいることが出来なくなって無我夢中で走って家に帰った。悲しくて、悔しくて沢山泣いた。私一人が恋してたんだ。ほんと馬鹿みたい、そう思った。そして今日の朝、仁王に置き手紙をしてきた。昨日仁王の家に泊まる約束をしていたから今日しかないと思った。ありがとうとさようならを書いた手紙と仁王が照れながらもくれたペアリングを隣に置いて。


「学校休んじゃったなぁ…」


彼や優奈と顔を合わせたくなくて学校を休んだ。今頃二人は上手くいっているんだろうか。きっといっているだろう、邪魔者はもう居ないんだから。


ピンポーン


誰かが来たみたいだけどそんなのに構ってられるほど今の私に余裕がなかった。けれどそいつはすごくしつこくて何回もインターホンを鳴らす。


「あーもう!誰ですか!」


ドアを開けると瞬間ふわりと暖かくて少し甘い香りのするものに包まれる。


「なまえ!」


「ま、さくん…?」


「お前さんなしてあんなこと言うんじゃ!俺は別れる気なか。」


怒気を露わにして一気にまくし立てる彼、仁王雅治に呆然としながらもとりあえずこんな所で話すのも良くないから自分の部屋へと施す。


「な、んで、まさくんここにいるの?」


「お前さんがあげな手紙寄越すからじゃろ!なんなんあれ、説明しんしゃい。」


頭がついていかなかった。なんでまさくんがここにいるの、なんで怒っているの。そんなことが頭をぐるぐるしていて上手く回らない。


「まさくん学校は?」


「そんなもんどうでもよか!なんなんじゃさっきから余計なことばっか気にしよって。俺んこと嫌いになったんならはっきり言えばよかと!」


「ち、違っ…」


違くて、私はまさくんが好きだから。好きだから幸せになって欲しくて、しかも相手が優奈なら私も祝福出来るって思って、だから、だから別れようて思って。


「それじゃあ、俺が浅香が好きみたいじゃろ。」


「違うの?」


「有り得ない…」


まさくんはまたぎゅうと私を抱きしめる。ほぅと小さく息を吐くと私のおでこに自分のおでこをつけて目を見つめた。


「なしてそう思ったん?」


「だってまさくん、優奈のこといつも見つめてるから…」


涙が出そうになるのを見られたくなくて顔を逸らそうとすると両手で固定されてしまい視線が外せなくなってしまった。


「それ、誤解じゃ。確かに俺は浅香を見てた。けどなそれは好きとかそんなんやなくて、浅香がなまえに何かしないか見張ってたんじゃ。」


「えっ?」


「あいつ俺んこと好きやって言いよって、なまえと別れろって煩くてのお。一回まじでキレたんぜよ。そしたらあいつ、お前さんを傷つけてやるってめっちゃ怒りよって。」


「で、でもまさくん、ブンちゃんに限界って言ってたじゃない!」


「限界?…ああ、それは、」


言うなり押し倒される。え、なにこの状況。


「まさくん!」


「お前さんにこうゆうことしたくて限界ってこと。」


ぶちゅうと効果音がつきそうなくらいおもいきりキスをされる。


「じゃあ全部私の勘違いだったってこと?」


「そうぜよ、まったく人騒がせナリ。」


「う、ごめんねまさくん…」


「許さん、こんなになまえんこと愛しとるまさくんを傷つけた罪は重いぜよ。」




























すれ違い愛
(俺の愛は重いんじゃよ)




-あとがき-

仁王切甘というリクエストにそって書いてみたのですが、切なさの部分が出ていたでしょうか。
どちらというと甘が強いような、というか最後仁王が変態になってしまったような…orz

相互記念ということで莉代様、相互ありがとうございます!
書き直しはいつでも致しますので、気軽に言って下さい。

これからよろしくお願いします。





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