なまえちゃんは、かなり不思議な奴。初めて話をしたあの放課後からまだ1ヶ月も経っていないのに、まるでずっと一緒に居たかのように仲良うなった。 俺は昔から人より警戒心が強くて(俗に言う人見知りというやつじゃ)銀髪ってのもあって友達がなかなか出来んかった。なのになまえちゃんは、特別と言ってくれた。友達になってくれると言ってくれた。 「まーくん。」 だけど最近、変だ。なまえちゃんに名前を呼ばれるとひどく心がざわつく。ドキドキと心臓は早くなるし、苦しくもなる。特に丸井と話してる時なんかは、もう壊れてしまうんじゃないかというくらいに。 この前、放課後に遊んだ時もそう。なまえちゃんの好きそうな雑貨屋をたまたま見つけて、ただ教えてあげようって思っとっただけだった。だけど気がついたら一緒に行ってて、ぬいぐるみまであげていた。あの時見せてくれたなまえちゃんの笑顔がどうしても忘れられん。授業中も部活が終わった後も家に帰ってもなまえちゃんのことばっかり考えてる。それが嫌じゃなくて、むしろ暖かい気持ちになるんじゃ。こんな俺、気持ち悪いんかな。友達やめられてしまったりして。 「でね、ブンちゃんが。」 他の男の話なんかせんで俺んこと見て。そんなことまで思ってる自分に気づいた。俺はこんなに独占欲の強い男だったんじゃろか。大体、なまえちゃんがどんな男の話をしていおうが自由だ。別に俺は彼氏でもなんでもないんじゃから。 「彼氏…」 「まーくん?なんか言った?」 「なんでもなかよ…」 もしなまえちゃんに彼氏が出来たら、考えただけで胸が苦しくなった。なまえちゃんは美少女ってわけでもなくて普通な子。やけどのほほんとしてて可愛い子じゃから、男の友達だって多少いる。彼氏が出来たら、俺と一緒に居る時間は減ってしまうに違いない。そんなの嫌じゃ、なまえちゃんとはずっと一緒に居りたい。 「ねっ、明後日だよね練習試合。」 「おぉ、そうじゃよ。」 「お弁当持って、応援しに行くよ!楽しみにしてるね。」 「おう…」 なまえちゃんの笑っている顔を見たら、胸の痛みの原因がわかった。俺はなまえちゃんが好きなんじゃ。 「それじゃあまたね。」 ばいばいと手を振って家に入るなまえちゃんを見てから歩き出す。頭の中はなまえちゃん一色で、自覚したら急に恥ずかしくなってきた。いつか覚悟が出来たら告白しよう。だからそれまで覚悟しときんしゃい、なまえちゃん。 君と、心の変化 (あ、明日から)(顔が見れん…) ←→ [戻る] |