「あ、私今日日直だ。」 一緒の人は誰だろうと日直表を見てみると、仁王雅治くんだった。 仁王くんはテニス部に入ってるらしく、もの凄く人気が高い。このクラスが決まった時も友達がみんな騒いでいた。私もとても格好いいと思う、けど何だか近寄り難くて仁王くんの前の席なのにも関わらずお話をしたことがなかった。 今はそんなことを言ってられないんだけど。 「仁王くん、今日私と日直なんだけど…」 「ん、あーそうじゃったか。」 放課後だからか眠いのか、はたまたただたんに眠いだけなのか仁王くんはくあと大きな欠伸をして答える。 内心私はどきどきだ。これだからヘタレは、話したこともない人と、ましては学校のアイドルみたいな仁王くんと話すのには大分気力と勇気が必要になる。あーやっぱり日直だよなんて言わなきゃ良かった。などと脳内で一人会話を続けていると仁王くんが話しかけてきた。 「なぁ、俺は何すればよかと?」 「えっ!?いやあの、仁王くん部活あるんでしょ?私一人でやるから部活行っていいよ。」 「別に、俺日誌書くからみょうじさんは黒板消しとって。」 黒板を指差すと、仁王くんはとっとと日誌を書き始めてしまった。どうやら仁王くんはいい人らしい。とりあえず任された黒板消しを一心不乱にやるとしよう。 「黒板消し終わったよ。」 「おう、なぁみょうじさん。ここって何書けばいいんじゃ?」 そこにはフリーページと書かれた場所があった。確かにそれじゃあ何を書いたらいいのかわからない。 「今日あったこととかを書けばいいんじゃないかな?」 「今日あったこと…」 何か思いついたのか、仁王くんはいそいそと日誌に書き込み出した。そして書き終わったと同時に見て見てと私の顔の前にそれを差し出してきた。 「何々、『今日も相変わらず髪が銀色でした。朝からまた憂鬱な気分。黒染めをしようかと思いました。』…え?仁王くんってその銀色地毛なの!?」 こくんと首を上下に振る。驚いた、いやだって日本国において銀髪の人が生まれるとは。 「そうだったんだー…」 「じゃから先生も何も言ってこない。でも俺はこん髪嫌いじゃ…」 「…私は好きだけどなぁ。だってね、私も…っていうか殆どの人はさ黒髪にしかならないよ。でも仁王くんは銀髪になれたってことは特別ってことでしょ。それって格好よくない?」 人と違うことが特別格好いいわけではないけど仁王くんの髪は格好いいと思う。髪に光が当たるとキラキラしてて綺麗だしね。 「…そ、な事初めて言われた。」 「そうなの?みんな思ってると思うんだけどな。」 「なぁ、みょうじさん……俺と、俺とさ…」 「うん?」 「友達になってくれんか?」 「勿論!」 仁王くんが友達になろうと言ってくれたのは純粋に嬉しかった。話していくうちに恐い人じゃないっていうのもわかったし。 その後は一緒に職員室へ日誌を出しに行って下駄箱に行った。 「みょうじさんの下の名前って何て言うん?」 「なまえだよ。」 「なまえちゃん、なまえちゃんかぁ。」 なまえちゃんと私の名前を何度も呼んでいる仁王くんがとても可愛いくて思わず笑ってしまった。 「ふふっ、じゃあ私はまーくんって呼んでいい?」 「まーくん!おう!」 まーくんとまた明日お話出来るんだと思うと楽しい学校がもっと楽しくなる気がした。明日が楽しみだ。 君と、お話 (仁王くんは)(可愛い人でした) ←→ [戻る] |