あの日を境になまえちゃんは俺に近づかなくなった。近づかないと言ったら間違いかもしれん、俺はなまえちゃんにひっついとるしなまえちゃんも相変わらず無理に離そうとはしない。やけど近くないんじゃ、心が。なまえちゃんの笑顔も見れていない。 「なまえちゃん…」 この一週間、昼休みはずっと屋上で一人考えとる。なまえちゃんはお昼はふらっとどこかに行ってまうし、俺も考えたいことがあるから。やけどそんなのは言い訳だってわかっとる、俺が傷つきたくないだけの言い訳。なまえちゃんにちゅうして告白した後、すぐに我に返った。本当は告白もちゅう(これは特に)もするはずじゃなくて、いつも通り楽しく話をするはずじゃった。 「わがままになったなぁ…」 なまえちゃんは全然わがままやないのに、ひっそりと溜め息を吐くように言った。理由を聞くとそれは俺達にとったらただ嬉しいだけで迷惑なんてこと一個もないのになまえちゃんは少し哀しそうに笑いながら俺に同意を求めた。俺はそれにたまらなく愛しさを感じた。やっぱり俺はこの子が好きやと、伝えたいと思ってしまった。 「けど、あれはなかったナリ…」 なまえちゃんはもう前みたいに優しく俺に笑いかけてはくれないんじゃろか。好きでもない男にちゅうされたんじゃ。当たり前と言ったら当たり前。 「そんなん辛かぁ…」 なまえちゃんに会って初めて女の子の友達が出来て恋というものを知って。なまえちゃんは俺に沢山のことを教えてくれた。そして俺の知らんかった俺のことを気づかせてくれた。やけたとえなまえちゃんが俺んこと好きじゃなくても、せめて友達のままで居させて欲しい。いつもみたいに笑いかけて欲しい。本当は俺んこと好きになって欲しいけど、それは贅沢じゃから。俺がなまえちゃんを好きで居れればそれでいい。 「話をしに行こ…」 正直、不安でたまらん。なまえちゃんは許してくれんかもしれん。もう友達ですらなってくれんかも。やけど謝らなきゃ、これは俺が悪い。 「なまえちゃん、話があるナリ。」 「…うん、わかった。」 薄く笑ってくれるなまえちゃんに胸がドキドキし出したのはいつのことじゃったろか。今は、少し苦しい。 「まーくん、お話って?」 「うん、あんね。この前は…この前は、ちゅうしてごめん。」 「え?」 「びっくりしたじゃろ?いきなり好きでもない男にちゅうされて。」 「まーく、」 「本当にすまんかった。でも、でもななまえちゃん。好きって言うんは謝らんよ。」 「す、き…」 「うん好き、大好きじゃ。」 君と、すれ違い (まーくんは私が)(すき?) ←→ [戻る] |