いろんな恋
ともだち(忍岳+慈)
「ゆーしなんか大嫌い。」
昨日ジローに泣きながら言われた言葉だ。いきなりの事で驚いてしまった俺はもう一度ジローに聞き返した。まぁ、同じ言葉が返ってきたが。何故ジローにそんな事を言われなければいけないのか分からない。俺は知らぬ間にジローに嫌われるような事をしてしまったんやろか。いくら自分で思い返してみても分からなかった。
「ははっ、人に嫌われるんがこんなに辛いやなんて。」
知らんかった。俺は昔から少し冷めた子供で、仲間とか友達っちゅうんがようわからんかった。所詮は上辺だけの付き合い。そう思っとった。岳人に出会うまでは。岳人はいつでも本気で相手と付き合うとる。相手の良いとこも嫌なとこも全部ひっくるめて。たまに意見の食い違いみたいなもんで喧嘩しとるけど、次の日にはケロッとして遊んだりしてる。俺はそんな岳人が羨ましかった。
「ゆーし」
「ジロー…どうしたん?今、授業中やで。」
「うん、あのね俺、ゆーしに謝りたくて。」
「え?」
「昨日は大嫌いなんて言ってごめん!」
「いや、別に俺は。」
「俺ね、がっくんがゆーしに取られたみたいで嫌だったんだ。」
がっくんは俺の大事な親友だからとジローは悲しそうに言う。
そうだ。確かジローと岳人は幼稚舎からずっと一緒だったのだ。それを途中から来た俺が、岳人を奪ってしまった。ジローは寂しかったのだろう。当たり前だ。いつも一緒だった相方が突然取られてしまったのだから。
「俺もすまんかった。ジローの気持ち考えへんかったわ。」
「ううん、いいんだよ。がっくんはゆーしといる方が幸せだし。」
「それは違うでジロー。」
「え?」
「岳人な、ジローが日吉と付き合い始めた時言っててん。ジローが日吉に取られたって。ジローと一緒に居れんくなるの嫌やって。」
岳人も寂しそうにしてたのを思い出した。まあ、そん時はジローに対する嫉妬とかあってほとんど聞き流してたんやけど。
「そっか…そっかぁ。」
「多分岳人は今ジローんこと探してるで。」
「本当!」
「おう、行ってやり。」
「うん!ありがとっゆーし!」
俺もいつかあの二人のようになれるだろうか。心を許し、許される存在に。
ともだち
(俺達全員が仲間だと言われた時)
(泣くほど嬉しかった)
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