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シャクナゲ恋歌
02
訳もわからないまま、イタリアに到着した。(ほんとにイタリアだと思い知らされたのは空港に着いたから)


「逃げるのは自由だが、一人で夜を過ごさなくてはいけなくなるな………」




「くっ……!!卑怯よ!!大人のくせに」



それだけを言ってぷいっとそっぽを向いた。




ムカつくものはムカつく!!だって屁理屈ばっかりならべるんだもん。





あたしが見ていないところで、ほくそ笑んでいたことなんて知らない。





ぷいっと向いたまま文句でも言いながら付いていくしかないな…。と諦めかけたときだった。





一気にあたしの体は宙に浮いて、地面から足がブランと浮かんでいる。
あたしはハッと奴を見ると口元が笑っている。――――ムカつく。っつてかその前に………







「下ろしてよ!!しかも逃がす気全くないじゃない」



「当たり前だ。逃がしては意味がないからな」




この人最悪だ。





することが最悪。




「そんなこと知ってるよ。その前に翠、縛られたいの??」





「……スミマセンデシタ」





心の中で言ったつもりだったのに、声に出してしまっていたらしい。




しかもさっきの言葉と不適な笑みは恐すぎる!!





町の皆様の視線が痛すぎると思う。その訳はこの態勢(世間でいうお姫様だっこ)をしているためだろう。






降ろせーっ!!なんて叫んでも聞く耳を持ってはくれない。





そのままヴェルデに連行されて一見のお城といっていいところに連れていかれた。






「ここどこ??ってかいい加減下ろしてよ」




「見てわかるだろ…家だよ」






家………。



ここに住んでいるの??







呆気にとられるくらい大きな城のようなお家。下手したら夢に出てくるような、幼い頃に憧れた家のようだった。






どんどんヴェルデはその家と言うところに進んでいく。






沢山の男の人や女の人が行き交っている廊下。急がそうに行ったり来たりしているのにもかかわらず、ヴェルデを見るとみんな止まって挨拶をしていた。

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