気まぐれ屋
閉じ込めたくて…(百蘭・切)
「……っ!!!」
気がつけば辺りは見たことのない場所。
「あーっ!!やっと目が覚めた??かおりチャン♪」
そこにいたのは敵である百蘭だった。
「……あなたは……どうして!!」
がちゃっ
「……??」
あたしの手元を見てみると、手錠がかけられていた。
……そうだった。
いきなりアジトの襲撃。近くにボスがいたため、必死に守ったが…途中から意識がなくなったんだっけ……。
相変わらず白蘭はマシュマロを食べながら、こちらを見ている。
「あたしを一体何する気なの??」
……手錠を外そうと試みるが、なかなか解けないどころか、むしろ血が出てそうだった。
「まぁまぁ…かおりチャン落ち着いて♪」
ニコニコしながら白蘭は口を開いた。
「条件をちゃんと飲んでくれたら……ね??」
最後の間のあとに、こちらへとコツコツ…と近づいてくる。
……ッ
かといって、逃げ切れることは不可能…。
ちょこちょこ後ろに下がって、無駄だけど抵抗してみた。
無駄だ……。
そっと白蘭はあたしの髪を掬って…キスをした。
「……ぇ??」
あまりに唐突で拍子抜けしてしまった。
きっとその時の顔はかなりの間が抜けた顔だっただろう。
しかし百蘭は、真剣な眼差しであたしを捕らえる。
「ボンゴレ十代目がそんなに大切??」
急な質問……。
大切もなにも…。
生涯仕えるときめた人…。
大切もなにもない…。
守りたい人。
「当たり前です」
「じゃあ…その大切な人を失いたくないよね??
そう言ってあたしを見つめる。あたしはただコクっと頷いた。
じゃあ条件♪かおりチャンがボンゴレと縁を切ってミルフィオーレに来ること、これが条件だよ」
……。
頭が働かない…。
ボンゴレを離れる??
でもここで断れば十代目は…
あたしはただ目をつぶって、一息呼吸をした。
ボンゴレ幹部のみんな…。あたしはここで頑張ります。
そう思いあたしは頷いた。その時あたしの頬には涙が一粒伝った。
(ごめんねかおりチャン……僕は君が欲しいだ♪)
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