オレンジの涙
明日
「……さくら!!」
お店から出るなり、ディーノの声が聞こえた。
「どうしたの??そんなに慌てちゃって……」
ディーノは肩で息をしていた。首を傾げているとおもいっきり腕を捕まれた。
………強い力。
少し痛くて顔をしかめると、若干捕まれていた力が弱まった。
「……やっと見つけた」
その瞬間あたしはディーノの胸にすっぽりとおさまっていたのだ。
「…///もうさっきの女の人はいいんですか??それにあたし一人でも買い物は出来ますし」
うれしい反面、さっきの女の人が気になって仕方ない。
「あぁ…今日はさくらのために時間を開けてんだからな??それに近くにいねぇと、危なかっしいんよな」
「子供扱いしスぎっ!!」
ぷーっと頬を膨らませて、わざとディーノの胸を軽く押して踵を返して歩いた。
子供扱いするならいっそのこと子供っぽくしてやるもん!!
変な意地を張ってしまう。
……かわいくないなぁ。
「ったく……」
その言葉と同時にあたしの指に絡み付くように手を繋がれた。
急にされたためポカンとディーノを見ていた。
「はぐれないように……な??」
はにかんだ笑顔が眩しかった。手は繋いでいたのだか、なんだか遠い人みたいだった。
明日は帰国する日。
たくさんのお土産と思い出をのせて、日本へと向かおう。
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