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オレンジの涙
オルゴール
その場がすごく気まずくなってしまった。それを誰よりも分かっていたつもりだ。




「ディーノさん……あたし近くのお店に入ってますね??」




当然邪魔者はあたし。
どう足掻いたって叶いもしない相手に立ち向かっていく勇気なんてない。


「ちょっ……さくら」




ディーノさんのあたしを呼ぶ声が聞こえたけど、わざと聞かないことにして走ってお店に入った。





惨めになるだけなら傍にいないほうが、聞かないほうがいいときだってある。






そっとお店の物を見回してみると、小物入れがあった。ふたを開けてみると、すっと心に馴染む音楽が聞こえてきた。



値段はかかれていなかった。そっと財布を取り出すと、少しだけどお金が入っている。



「すみません……」



「いらっしゃいませ」




あたしはキョトンと目を丸くしてしまった。


だってこのお店の人が日本語を話しているんだもん!!



「どうされましたか??」


「あ……いえ。日本語お上手なんですね??」



「いえいえ!!とんでもない。昔から日本が好きでねぇ……」


どうやらこのお店の人は日本びいきの人らしい。


「あっ………これ!!いくらなんですか??」


「これかい??……貰ってくれるなら持って行きなさい」



……くれるってこと??


「でも!!」


「お嬢さんが貰ってくれるならいいんだよ。そのかわり大切にしてくれ」


ニッコリと笑う顔がとても穏やかだった。あたしはコクりと頷きもらうことにした。


「いつかまたあたしが来たらちゃんとお礼するから楽しみにしておいてね??…それとあたしの名前はさくら!!忘れないでね!?」



お店のおじいさんは懐かしそうに目を細めて「約束じゃぞ」と微笑んでいた。

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あきゅろす。
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