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異説・浦島太郎
竜宮城へ…!
さて
亀に連れられてやってきた場所は、太郎と亀が最初に出会ったあの海岸だった。
「ここで、ボクがいいと言うまで、少しだけ目を瞑って待っていてください」
亀に言われるまま、太郎は目を瞑る。
その間。
太郎と両手をつないだまま、亀の気配はそばにある。
しばしの後。
一瞬の浮遊感の後。
「もう目を開けていいですよ」
との、亀の言葉に、太郎が目を開くとそこは……




















そこはまるで、
月のない夜に砂浜で寝転んでいる時のような光景が広がっていた。
それも、
上だけではなく、右も左ももちろん下も。
墨を流したかのように真っ黒な世界に、無数の星の煌き。
太郎の感覚で言えば、
そんなような光景が、
目の前に広がっていたのだ。
太郎がその事を亀に伝えると、
「概ねそれで、あっていますよo(^-^)o」
との答え。
答えの意味は、良く判らなかったものの、まぁいいや、と、太郎は思った。
キレイなんだし、すごく感動した。
それでいいや、と、
太郎は思った。


竜宮城までは、その場所で、亀と色々な会話をして過ごした。
太郎たち親子の今までの暮らしぶりや、亀の仕事のことなどを、色々と。
太郎の父親が、太郎が10歳の時に漁に出たまま戻らなかったことや、それからは母とふたりで、その日暮らしに近い生活を送っていた事から、太郎が釣った魚の料理法まで。
色々なことを話した。
亀も色々話してくれた。
まだ、ほんの子ガメの頃に、両親と死に別れ、竜宮城の乙姫様に拾われて、以来ずっと竜宮城で過ごしていることや、乙姫様をはじめ、城のみんなはとても優しくて親切なこと。
たまに来客があると、目が回るくらい忙しくなるけれど、普段は退屈なくらい暇なこと。
だから、太郎が来てくれるのは、城中大歓迎なのだということなど。

「ぁ、そろそろ到着します。スミマセンが、また目を瞑ってください」
ちょうど話に区切りがついた頃、亀が言った。
太郎は再び目を瞑る。
そして先程と同じように、亀に両手をつながれ、しばし後の浮遊感。
「もう、目を開けてもいいですよ」
との、亀の合図に太郎が目を開くと……




















『絵にも描けない美しさ』
とは、まさにこのことなのだろう。

周りの状況は、おそらく海の中。
珊瑚礁が広がり、色とりどりの魚たちが泳いでいる。
そしてその奥には……
言葉では…いや、もちろん絵でも表現できないほどすばらしく荘厳な、お城があった。
「あれが『竜宮城』ですよ。
さぁ、どうぞおいでくださいo(^-^)o」
亀の案内で、太郎は竜宮城へと入っていった。

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