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異説・浦島太郎
運命(?)の再会
亀事件から、幾日たっただろうか。
その日は久々に不漁で、保存用に作っておいた干物で、軽く夕食を済ませて、早めに床に着こうとしていた。
そこへ、「こんこん」
と、遠慮がちに扉をたたく音が聞こえてきた。
始めのうちは、風の音かと思っていたのだが、どうやら違うらしい。
太郎は、すでに眠りについている母を起こさぬよう気をつけながら、扉を開けに行った。
そこには、まだ少年といってよい年頃の、見慣れ者が立っていた。
「こんな時間にどうしたんだい?」
太郎がきいてみると、少年は、しばらく太郎を見つめた後、
「あの。実はボク、先日助けていただいた亀です!」
と、言った。
突然の少年のセリフに、太郎はどう対応してよいかわからず、固まってしまう。
「助けていただいたお礼をしたくて参りました」
胸の前で手を合わせ、瞳をウルウフさせて、『亀』は言った。
「えーと(^_^;)
とりあえず、中にはいって」
太郎は亀を中に入れてやった。
亀は素直に太郎に従い、中にはいる。
「とりあえず、今日はもう遅いし、今から帰れというのもかわいそうだ。泊まっていきなさい」
苦笑いをしつつ、太郎は亀に言った。
「余分な布団はないから、俺と一緒の布団になるけど、構わないよな?」
太郎の言葉に、亀は頷いた。
なぜか赤面しながら。

そして、夜が明けた。


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あきゅろす。
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