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< 倒れた机 >
ねぇ、人ってね。
嘘をつけないと。
生きてはいけないんだよ。
―――He that cannot dissemble knows not how to live.
だけど。
"多少の嘘"と"全て嘘"。
―――その差はとても大きいんだ。
だから。
「なんなの、なんなの、なんなの〜!!!あの卓様が!僕の卓様がっ〜〜!!!」
「ステディな恋人なんてっ!いやーーーー!お願いワンナイトキングのままでいて!」
「誰に告白されてもYesなんて言わなかったのに〜〜〜!」
「信じれられない。これ現実っ?!誰か、夢だと言って―――!!」
「―――なぁ、あの会計がとうとう1人に絞ったらしいぜ?」
「マジか――。まぁ、なんつーか、いんじゃね?たいがい遊びまくる奴って、後から1人に決めんじゃん。しっかも意外としっかり系だったりすんだよな」
「そーそー。――って、相手誰よ!?むしろその方が気になんね?」
「あ――。特Aの奴らしいよ」
「お、意外。特Aっていやー生徒会嫌い多いじゃんよ。何その変わり種。興味ある」
―――――ガンッッッ!
主以外には誰もいない"会長室"で、蹴られた机が不安定に揺らぐ。
―――窓の淵に腰かけた男は机の上に再び足を乗せて空を睨んだ。
「―――――ちっ。アイツ」
ピーチクパーチクのんきに囀る雀たちの声が廊下から否応なく漏れていた。
―――ああ、そうさ。
おまえはそうゆう奴さ。
―――嘘をつかなきゃ生きていけない。
タチの悪いサイテー野郎だよ。
おまえって奴はさ。
―――なぁ、この俺が。
「――――黙って許すとでも思ってんのか」
―――――ガンッッッ!
蹴られた机は今度こそ教室の床へと倒れていく。
しかし、男の視線は最後までそこに向けられることはない。
――――教室から出ていく真田晃平に微塵も関心寄せられることのない机は、ただそこに沈黙していた。
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ステディ:
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