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クールガイの宣告




女はヤらせてくれるだけでいい。

男なんざいらねぇさ。



――――はっ、お友達だ?

んもの、腹の足しにもなんねぇよ。


なのに、てめぇはいつまでたっても他人面。
俺が"隣"を許してんのはてめぇだけだと、気づきもしねぇんだ。


いや、それとも気づいてんのか。

――――なぁ、甲斐よ。

都合の悪いことは、気づかない"フリ"なのか。



ああ、そうだな。

そうゆう"ままごと"はおまえの"お得意分野"だもんな。

『残酷で無関心、熱くなることのない冷血漢』てめぇはオレにそう言うが、オレに言わせりゃ、てめぇがそうさ。

新しい女を見りゃ尻を追い、どんなに手間暇かけた女でも、呆れば最後、初めからいなかったようにあっさり捨てる。

歯に衣着せねぇオレよりも、言葉巧みに下手な希望を抱かせて、安心したところを背後から、まっさかさまに突き落とす、なぁ、そんなオマエの方がよっぽどの"極悪非道"なんだぜ?

それでもまだいいさ。救いはある。

ほんのちょっとでもそいつに心ひかれる瞬間があるならな。



けど、違うだろ?

オマエはただ。



―――"そうゆう自分"を遊んでるだけなんだからな。


お前に惚れた奴らにとっちゃ、とんだ生き地獄だ。

一番おまえの傍に立っていながら、おまえの目は自分を"見ない"んだからな。

そいつは捕まらない自分の影を追うように、永遠にただお前という"焦燥"を抱えなきゃならねぇわけだ。




――――ああ。タチが悪いんだよ、てめぇはよ。


だがな、その`サイテー野郎`が笑って女を捨てるたび、甘美な優越を噛みしめる、そんな俺も、まぁ立派な`悪党`なんだろうぜ。



その黒い髪をひっつかんでやったら、痛みに耐えるオマエの瞳には、俺だけが映るだろ?

節操のない唇を思う存分に犯したら、無駄にエロさを垂れ流す、その鎖骨に噛みついて俺の'所有印'を刻みつけてやりてぇよ。

'余裕'の仮面を力任せに引き裂いて、女たちの惹きつける甘いマスクが歪むほど、快楽で思いきりオマエを鳴かせたい。


なぁ、『熱くならない冷酷無慈悲な冷血漢』、そりゃいったい誰のことなんだ。



――"オレ"か、"オマエ"か。




誰にも夢中にならない`悪党`に執着しているこの俺は、さながら毒グモに捕まって、抜け出せなくなった哀れな蝶だ。

捨てられた女どもを笑えやしねぇ。

時が過ぎれば過ぎるほど、甘い毒が体に回って動けなくなってくる。



覚えてるか5年前。

俺に近づいてきたオマエにさ、俺はちゃんと言ったぜ?


―――近づくなって、な。

なのに猫が鳴いて擦り寄るように近づいてきたのはオマエなんだぜ?

俺はもうとっくに腹くくってんだよ。




だから、なぁ、甲斐。

―――今さら俺から逃げようなんて思うなよ。



End.

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