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< 挑発 >


 

食堂に似つかわしくない悲鳴。はじけ飛んだ料理の残骸。殴られたに関わらず酷薄に笑う男。

―――そして、拳を握り怒りを露わにした男。


「・・・・なるほど」

卓は目を細め、ステージに上がるキャストがまた一人増えたことを確信した。
  




資産家や家柄の良い者が多いこの学園では、容姿、家柄、頭脳などが異常に評価される。中でも生徒会4役は、毎年精鋭選抜となる。生徒内での人気もさることなら、その待遇も特別扱いだ。

昼食を取りに訪れたレストランホールにも生徒会専用席が決められている。腹黒王子に『気に入った』と言わしめた男を拝見しに、卓たちは一般席に向かっていた。

それとなく隣に立つ男、紙屋宗助(かみやそうすけ)に視線をやると、無口な書記は苦笑を返す。

その笑みは『王子の悪戯がまた始まった』そう言わんばかりの保護者じみたものだった。




「―――彼だ」
 
先頭を行く男は、それはひどく挑発的に笑った。『王子様』をかなぐり捨てた『肉食獣』の視線。


向けられたのは噂の転校生にか、それとも―――





「ああ!真彦―――っっ!」

ホール中に響き渡る声に、一瞬静まり返った食堂は次の瞬間どよめいた。常でないクールビューティの微笑みにホール中の視線が集まる。

そして、生徒たち視線の先に晒しだされたのは、一人の男。


――黒いもじゃもじゃ頭にビン眼鏡をかけた青年だった。


  

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あきゅろす。
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