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< クラウンゲーム >
サ―――――――――。
――――――降りしきる温水に顔を向ければその心地良さから神崎卓の肩からは自然力が抜ける。
黒いタイルに叩きつけられるシャワーの水温にバスルームはすでに白い蒸気に包まれ始めていた。
日本のバスルームのシャワーヘッドの位置は高身長の男には腰を折るような低いその位置にある。
そのため特権を使用して海外仕様に作り替えられたそのバスルームは神崎卓専用とも言える代物だった。
――――カツン。
指に付けられたままのシルバーリングがシャワーヘッドに当たって小さな音を立てる。
「――――――ちっ」
しかし、湯けむりの中に大きく響いたその舌打ちは耳障りなその音に送られたのではない。
ヘッドを片手に握り、神崎卓は勢い良く出る温水の流れに頭を突き入れた。
『――――付き合えよ。コイツを大人しくできるのはオマエの可愛いココだけだからな』
煙草の切れた男が部屋を後にしたその隙に長い軟禁状態から抜け出したが、弛緩するような気だるい下半身はそう簡単に回復はしない。
―――――ダァァァァンッ!!!!
モダンな黒いタイルに拳を打ちつけた卓の首元でシルバーチェーンがシャラリと揺れた。
やがて、ゆっくりとその濡れた長髪を掻きあげた神崎卓は、ニヤリとその瞳に密やかな怒りを宿して不敵に笑うのだ。
「――――Once bitten twice shy.二度あると思うなよ、コ―へー君」
サ―――――――――。
美しく日焼けしたそのしなやかな体から白い湯気が立ち昇り、かかる温水が水しぶきをあげてガラス張りのバスルームに飛散していた。
End.
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