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< 恋道6 -阿吽の恋- >
「あ」
「い」
「・・・う」
「え」
「・・・・・・・」
「―――――――」
「・・・・・・・」
「――――そこまで言ったら最後まで言えよ」
「ばーか。オマエが飽きたら可哀そうだから、変化球入れてやったんだろうが。お優しい親友に感謝しろよ」
「――――おお、マジだ。流石、わかってんなー、俺の親友様は。けど、いらんぜ、オマエの特別なお優しさなんて後が怖くて即返品だろ？」
「あん？嬉しすぎて言葉もねぇって？・・・そうか、そうか、わかってんな、オマエ」
「なんだよ、とうとう耳までイカレちまったか。・・・ま、所詮この俺の高等な会話に連いてこれるわけねぇか」
「――――おい、何か言ったか、阿呆？最近耳の調子が悪くて低俗な会話は耳に入らねぇんだわ、俺」
「言うねー、オマエ。・・けど、大丈夫だぜ。そもそも俺らの会話なんて低俗以外の何物でもねぇから」
「・・・違いねぇ」
「―――だろ？」
「・・・ぶっ」
「・・・はっ」
「――――――あ〜、なんか面白いこと落ちてねぇかな〜。・・・よっぽど、オマエと会話してる方がマシか。次、サボるか？」
「いいのか？赤点先生の分際で。次、オマエが毎回鼻水たらして『お願い』って手つく数学だぞ」
「・・・・んなこと言って、ピンチの時はお優しいオマエが助けてくれんだろ、親友様」
「ばーか。即返品なんだろ？・・・たまには貸し返さねぇといつか切んぞ」
「え〜〜〜、マジだー。それ、ちょーショック。でも、俺知ってるぜ？オマエのラブって意外と深いの」
「あーはいはい。愛してますよー。で？・・・金の切れ目が縁の切れ目ってな。貸しばっかのオマエにそのうち俺のふか〜い愛も干からびるわ」
「親友様、かわいくなーい」
「オマエ、目悪いんじゃね？ちょーかわいいわ、馬鹿が」
「――――ま、ともかく・・・・たまには出席日数ぐらい稼げよ」
「・・・・やっぱ、ちょーかわいいわ、オマエ」
「―――死ね。今更気づくな」
「オマエの上で腹上死なら考える〜」
「阿呆。誰がオマエを乗せるか。俺の腹の上はちょーたけぇの。・・・んなこと言ってねぇで、さっさと行ってこいや。で、数字に身も心も捧げてミイラにでもなれ」
「・・・・え〜、数字に捧げるぐらいなら、オマエに捧げるつーの」
「――――んなもの、誰がいるか」
「心ぐらい貰えや」
「――――いらんわ。さっさと死にに行け」
「・・・・で、オマエ、どうすんの？」
「あん？決まってんだろ。オマエを親友に持ったことをココでふかーく反省してるわ」
「・・・そ？んじゃ、ま、俺への愛をふかーく掘り進めろよ。俺は念仏聞きながら、オマエの可愛らしさをふかーく考えてみることにする」
「・・・・数字見たくねーっとはっきり言えや」
――――ひらりと手を振りながら去るその背中を諏訪隆一(すわりゅういち)は笑いながら見送ると屋上に晴れ渡る青空を見上げた。
どんな憎まれ口を叩こうと隣にあるその存在が人生で一番得難い宝だと知っている。
「隆一―――――っ！！」
屋上のドアを開けながら叫ぶ親友を振り返った隆一はただ呆れたように笑った。
「愛してんぞ―――――！！！」
一声吠えた馬鹿な親友が大ぶりに投げキスを送って見せたからだ。
やがて閉まったドアに隆一は楽しそうに笑うと青空に呟いた。
「――――俺もだ。ばーか」
End.
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