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クールガイの喜悦







だから、何度も言ってるだろうが。





『――――オマエら外出てろ』









―――――その甘さが最高に『目に余る』ってな。





5年来の悪友に問答無用で一発腹に決められたうえ力づくで伸しかかられて、パンピーなら一発で理性を手放すってこの状況下で、踏んだ場数を見せつけるように意外にも冷静なオマエに、まぁ、多少目を細めはしても見開くほどに驚くことはねぇ。


誰が何を言おうがどんな悪巧みもどんな劣勢もエロさの際立つその笑顔で強行突破カましていくオマエが、諦めだろうと呆れだろうとここぞって正念場で喚めいて泣き出すようなそこらの小心者のガキどもとは所詮、器が違うってのは今更過ぎる事実だからな。


でなきゃ、オマエ、5年もこの俺の隣に腰降ろして『悪友』なんて胸糞悪い名前で呼ばれやしねぇだろ。


だから、普段はそのエロイ面の下に隠されている男の器がここぞってときに顔を出そうと、そんな小さなことに目くじら立てるこの俺じゃねぇんだ。





――――もっと別のところにあるんだ。



この俺に苦々しい味を思い出させたその『元凶』ってのはな。







『―――――出てけ。しばらく戻ってくるな』





なぁ、甲斐。






―――――誰がそこまでしていいと言った。







俺は確かに言ったぜ。







――――ここか、ベッドか、選べとな。







だからって一体どこのどいつが。




あの馬鹿面晒したアイツらをこの場から逃がしていい。








――――そう言った?




はっ、甘ったるい友情ごっこも。









――――――いい加減にしておけよ、甲斐。




ここまで来るとアイツら相手に蹴り一発で収めたこの俺の方がとんだ『いい子ちゃん』ってわけだろ。


この俺のちっぽけな理性を試すつもりなら早々に諦めろよ、とうの昔にそんなものゴミと一緒に捨てちまったからな。


今更、取り戻そうにも取り戻せやしないどころか、取り戻す必要性すらこれっぽっちも感じねぇんだ。



だから、喉に詰まるこの苦々しさを感じさせたところで、所詮、今日という日の俺を止めることはできねぇんだ。



むしろ火に油注いで火だるまになるのはこの俺じゃない。






――――――オマエだぜ、甲斐。




前戯なしで突っ込まれてヒイヒイ泣き喚きたいのか、それともドアの外の他人様の前で俺の息子を戯言ばかりのその口で咥えるか。


いずれにしろ、とうの昔に覚悟を決めたこの俺に躊躇なんてもんはこれっぽっちもないんだ。


引き摺り倒そうが、殴り倒そうが、その長い髪ひっつかんでも連れて行くぜ。




―――――何、有言実行ってのが、この俺の限りなく少ないモットーの1つだと、『悪友』と呼ばれるオマエなら、当然知ってるだろうからな。



だから、さっさと重いその腰起して覚悟を決めろよ、甲斐。




いつまでも。








――――お優しい保護者気取りしてんじゃねぇって言ってんだぜ、俺は。




正念場のお仲間追いてさっさととんずらするような薄情なアイツらを後生大事にオマエが気遣う価値なんてありはしない、そうだろ?






―――――何より、今。




オマエの目の前にいるのは口先だけの腰の抜けたガキどもじゃねぇ。










この俺なんだってことを。








―――――オマエ、忘れちゃいねぇよな。






わかってんのか、俺が今目の前にいる、その意味が。






『――――今日だけだぜ、陣』





―――――はっ、わかってねぇんだよ、オマエは。




この状況でそんな阿呆らしいことぬかせるんだ、この5年、俺の何を見てオマエ、『悪友』なんてふざけた名前で呼ばれてやがる。




特に今日のオマエは。








―――――とことん不正解だ、甲斐。




流石に女との情事はお手の物のスケコマシでも5年来の悪友に裸に剥かれて女泣かせの息子しごかれてるこの状況じゃ、どんな言葉を言えばいいかわかるほど正気じゃいられねぇってわけか。





だったら教えてやるよ、甲斐。






―――――この俺がな。






『イイ』






ただそう言えばいいんだぜ?






―――――簡単だろ?






たったの2文字だ、甲斐。





たったの2文字。





―――――その2文字を口から涎と一緒に垂れ流して、その背を仰け反らせて果てて見せろよ。






この俺の目の前でな。







『――――今日だけだ』




普段、戯言ばかりで表情を変えるとすりゃエロイその笑顔貼り付けるだけのオマエが今更何、神妙な顔してパンピー気取ってんだ。



そりゃオマエ、馬鹿の一つ覚えのように『正義』だ『道徳』だと唾飛ばして喚く、あたかもそれが世直しの『印籠』か何にかと勘違いしてる哀れなヒーロー気取りか、腹の足しにもならねぇ『常識』なんてもんに自分からしがみついといて今更身動きもとれねぇパンピーが言う甘ちゃんのセリフだろうが。



生憎、ヒールの俺たちに『常識』なんてもんは必要ねぇ、そうだろ、甲斐。



それこそ俺たちにとっちゃ、時間の無駄だからな。



そんな時間があるなら、オマエ。










――――涎垂らして。






髪振り乱して。






この俺の手の中で。






さっさと。









―――――イけよ。






『―――――――っ!!』





―――――気持ちいいだろが。



女とは違うツボを知りきった男の手にしごかれるってのは。



流石のスケコマシも大事な息子を玉ごとしごかれれば、そりゃ目も潤むってわけだよな。



喉鳴らして顔逸らすそんな隙だらけの態度じゃ、オマエ、取って食ってくれと言わんばかりだぜ。



――――うっすら唇開けてエロい舌見せられちゃ、その口に無理矢理突っ込みたくなるってもんだ、甲斐。



熱いその舌が嫌がって押し返すその刺激ってのは一体どんなに俺を熱くするのか、知ってみるのも悪くない、そうだろ?








はっ、いやらしく乳首お勃ってやがって。






『―――――――っ、ぁっ!!』






―――――たまんねぇんだよ、オマエ。





はっ、何がスケコマシだ、何が色男だよ。


世間様が何を言おうが、ましてオマエの女が何を喚こうが、こうやって俺を煽って獣にさせるオマエは立派な男殺しなんだ。


その男殺しがそこらに転がる女で我慢できるとでも思ってんのか。


オマエのその器ごと丸抱えに出来るそんな豪傑の女がこの世にいるとでも?





―――飛んだお笑い草だぜ、甲斐。







『―――――――っっ!』





―――――んなコワイ目で睨むなよ。




ただ目の前にあったおいしそうな乳首に思わず噛みついてやりたくなっただけだ。



もっとも多少捻り潰してやったのは、まぁ、俺なりの特別出血サービスだがな。






―――――だが、この俺の目の前で悠長に肌晒してるオマエの方が悪いんだぜ。





大事なもんならちゃんとしまっておけよ、甲斐。








――――ま、裸に剥かれちゃ無理だろうがな。






ああ、それとも何か。





誘ってんのか?




そうなのかよ。







――――目潤ましてエロイ面で睨まれれば、流石のこの俺も。






慣らすのも忘れてて。







ココに。







――――――この場所に。





『―――――――っ!・・・』





――――力任せにぶち込みたくなるからな。





いやだろ?オマエ。





まだギチギチなココに。






『―――――――くっ!・・陣っっ!」






――――一気に突っ込まれんのはな。





この俺だって鬼じゃねぇ。



処女にほぐしもせずに入れる予定は今のところないんだ。



何しろ、オマエの大事な大事なココはこの先も俺の息子咥えてミルク絞りに勤しまなけりゃならねぇ大切な運命背負ってるからな。




だから、精々、大事に扱ってやる。







ゆっくり。




ゆっくり。





―――――オマエがエロいその舌見せながら涎垂れ流して精液ブチまかせるその様子をこの特等席からたっぷり見ていてやるよ。




だから、今日は女相手にセックスするように肩に力入れる必要なんか全然ねぇんだぜ、甲斐。



ただ力抜いて大人しく喘いでればいいんだ。





――――唇噛むような真似さっさと止めて、遠慮せずに声を出してな。



もっともその喘ぎがこの俺を煽るんだ、結局オマエにとっちゃとんだ苦行の連続ってわけだが・・。







『――――っ陣・・終わったら、・・っ殴らせろよ・・』






―――――知ってるか?




セックスの最中に相手の名を呼ぶ意味を。




はっ、知らねぇはずはないよな、天下のスケコマシが。





だったら。






―――――どうなってもいい。




そうゆうことだろ、甲斐。






はっ、終わったら、か・・・。







終わったら。






その時こそ。











―――――オマエは俺のもんだ、甲斐。





この俺が殴る体力残して獲物を離すとでも思ってんのか。



たいがい読みが甘いぜ、オマエ、この俺に関しては穴だらけもいいとこだ。



生憎、失神しようが『許して』と泣き言入ろうが、女に苦労しないこの俺がわざわざ野郎の尻に手間暇かけてまで手を出すその理由をきっちりその体が理解するまで離すつもりはないんだ。



この際、オマエの気持ちなんて俺にはどうでもいいんだからな。



そんなものは後からついてくる。





―――――何、ついてこねぇなら、それも無理矢理奪うまでだろ。




まぁ、悪役は所詮、天地がひっくり返ろうと悪役にしかならないってことだ。



今更、無理にキャラ変えしたところで根っこの部分から変えるなんて到底無理な話だからな。





だから、なぁ、甲斐。




さっさと諦めて。






――――――その体を寄こせ。







終わりを考えるその無駄な余裕をさっさと捨てて、悪い男は悪い男らしく喘いで見せろよ。






今、目の前にいる。







――――――この俺を見ろっていってんだ、甲斐。






『―――くっ、ああ―――っ!!・・・・」








―――――ほら、どうだ、甲斐。






五年越しのこの俺の味はよ。








はっ、最高だろ?







――――――俺は最高だ。





End.

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