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< 狼の焦燥 狐の本音1 >
―――――馬鹿な大人の都合に振り回されて時間を無駄にするのはうんざりで、甘ったれのガキどもと幼稚な遊びに興じるにはスレ過ぎて退屈な欠伸を噛み殺すだけだった。
だから、精々おもしろおかしく『道化』になって狂って遊ぶのが関の山なのさ。
――――――惚れた相手に甘い言葉一つ囁けず、この手を素直に伸ばすこともできやしない。
不器用でどうしょうもなく哀れな奴だと言うなら、いいさ。
――――勝手に嘲り笑え。
それでも。
根性の曲がり腐ったひねくれ者は。
『行儀の良い恋』になんて縁がない。
―――――『良い子の恋』なんて糞喰らえ。
甘く?
優しく?
―――――はっ、そんなもの。
ひねくれ者に言うだけ無駄さ。
頭でわかっていようが。
天の邪鬼なその体は正反対に動き出す。
どうしようもなくくだらないその言動で。
周囲を煙に巻きながら。
ただひたすら一人を見つめる滑稽な俺たちは。
互いの思いに踊っているのか。
―――――踊らされているのか。
だから。
言えることはただひとつ。
こうゆうやり方でしか。
――――人を愛せないってことなのさ。
――――この腕を誰にもやりはしないと声を挙げることも出来ないくせに、他の奴を見るその余裕が残らないようにと相手を煽る。
追いかけるその目に馬鹿みたいに安堵して、また笑顔で走り出すこの俺は、骨の髄までひねくれてどうしようもなく救われない。
――――それでも。
この腕が何も言わない卑怯な俺を赦すなら。
誰に嘲り笑われようと。
―――――構いやしない。
その瞳が。
熱を湛える様を見るためだけに。
―――――狂気とお手てつないで。
滑稽なダンスを踊るだろうよ。
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