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< 春遠からじ >








『ヤバい、最近来たあの先生ちょーかっこよくない?』

『うわ、君、"え?浮気?全然OKでしょう派"だったんだ。ガッカリ』

『そうだよ、3K1S様のがカッコいいに決まってるでしょ!?見よ、あの輝きをっ!!』


『――――キャッ!目の癒し、脳の癒し、そして僕の全て――っ!!!ぐはっ!!』





『―――変態がっ!僕の卓様を汚すな!!!』

『そうだよ、僕の紙屋様を汚すな!!』

『・・・このドSコンビめ!』

『ま、確かにあのインテリ数学教師なんか大人の男的な。紺野様をちょっと渋めにした感じでステキ♪』

『う〜ん♪ラブイケメン♪』






予期せぬ『転校生』にざわめき立てばあっけなく退学、学園のNo.1ホストのステディな恋人に固唾を飲めばあっさりお別れ。


―――この学園の生徒達は大きなイベントが過ぎ去った数週間後、ようやく元の静けさを取り戻そうとしていたかに見えたが、実際は突如現れた新任教師に学園中が浮足立っていた。






―――――学園の人気者、会計と書記の2ショットにざわめき立つ食堂で神崎卓は不敵に笑っていた。







「――――――手が"御留守"だぞ」


悪友である紙屋宗助はその笑みを見て嫌そうに一向に進まぬ悪友の料理を指し示す。


―――だが、肝心の悪友はスプーンを咥えて笑っているだけだ。





「―――――― If Winter comes, can Spring be far behind? 冬来りなば春遠からじってね」



――――愉快そうに目を細める卓に隣から小さな溜息が洩れていた。






「――――――ほどほどにな。・・・それより部屋の鍵。そろそろ返せ」


宗助の言葉に卓はスプーンを考えるようにしばらく揺らすと、ピタリとその動きを止めた。




「―――――"恋人"の部屋に入り浸る誰かさんに個室部屋は必要ないね。それともこの学園の柱とまで言われる不動の"書記様"は、意外にもたった一人の男の目くじらにさっさと背中を向けるただの臆病者だったってわけ?」






――――途端、宗助の口からは大きなため息が漏れた。






「――――臆病者でいいさ。何しろ相手が相手だ。俺を隠れ蓑にするなよ。それでなくてもオマエの横にいるだけで毎日目殺の刑だ」





――――今度は宗助の箸が止まり、その瞳がじっと卓を見返した。


ニヤニヤ笑う卓に低い声が忠告する。







「――――気づいてるぞ、アレは」




悪友の忠告に神崎卓は肩を竦めた。




――――隣から大きなため息が再び零れていた。






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あきゅろす。
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