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< 吐き気 >




「―――応援、僕もご一緒して良いですか?」


2人の笑いが一気に冷めたのは、見るに明らかだった。


雪夜は、強張った顔に無理やり笑みを浮かべて、隣人をそっと盗み見た。当人はもはや呆れ顔で、沸いて出た小宮を見ている。




――――こうして雪夜の幸せは、一瞬にして崩れ去るのだ。




「・・・かまわないよ。応援は多いほど良いから」

持ち前の鉄火面で復活した雪夜だが、意識は隣人の藤井に集中した。

自称親友は、雪夜の言葉に反応を見せない。


一瞬にして雪夜の心に猜疑心という不安が広がった。



――――彼は知っている。



想い人は押しに弱いという弱点を。

誰しもに平等にやさしい彼は、それゆえ、優柔不断で煮え切らない帰来があるのだ。それに、確かに優柔不断ではあっても本当に迷惑なら迷惑とはっきり言い渡すだろう。


今までが、そうであったように。



―――だが。



「よかったぁ・・・・・先輩頑張ってくださいね。僕、応援しますから・・」





――――――途端、吐き気がした。




雪夜が言おうとした言葉を難なく先に奪った後輩。

もしかしたらその後輩を憎からず思っている想い人。

しかし、問いただすなり何なりの行動に移せない自分。


――――だから雪夜はすっと地面に目を逸らす。




そして、「じゃ、学校行こうか」と2人を促して坂を歩き出すのだ。





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