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< 言葉はいらない 7 >
「―――――少し痩せたな。相変わらず女どもに離してもらえなかったのか?」
「―――――試してみますか?」
押し付けられた腰は熱を孕んでいて優の心に小さな満足感を齎す。
「――――そんな体力があるんならな」
耳元で響いた熱い囁きにウォルフの背筋がゾクッと反射した。
首筋を熱い舌が這い形の良い唇がきつく痕跡を残して行く。
―――無意識に快楽から逃れ様と優は首を引いた。
「―――――――優」
濡れたテノールに何かが首筋から足のつま先まで一気に突き抜ける。
「・・・・ぁ・・・」
自分の口から漏れた熱い吐息に煽られて優は羞恥に震えた。
そして、それを誤魔化すようにウォルフの頭を抱きしめるのだ。
「優・・・優・・・」
うわ言のように自分の名前を繰り返す声に言い表せない衝動に駈られて優はウォルフの耳に噛みついた。
「―――――――っ」
痛さに反応したウォルフが小さくうめく。
優は気にもせず、今度はねっとりと舐め上げた。
ウォルフも動き再開し性急に優のシャツを脱がせにかかる。
――――2ヵ月も空いたせいか、もともと感度の良い優の体はさらに敏感になっている。
脇腹をなぞられて優の息が止る。
そこを見計らってウォルフは優の乳首に口付けた。
先ほどの仕返しに少し強めに噛むとビクッと優の体が仰け反る。
だが、声はあがらない。
――――声を殺しているのだ。
――――優のプライドの高さにウォルフは小さく微笑んだ。
その頑な態度がウォルフの心に容赦無く火を付ける。
―――陥落させたい。
このしなやかな体を奥の奥まで貫いて、この人が泣いて許しを乞うほど喘がせたい。
首を仰け反らせ、理性すら忘れて嬌声をあげて果てるところがみたい。
突いて、回して、揺さぶって。
―――この人を壊したい。
――――そう湧き上がるこの暗い感情こそがあなたが帰ってきた証。
「――――おかえりなさい、優」
―――返ってくる言葉はやはりなかった。
End.
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