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< 狐のお参り >




――――この学園の生徒会役員は授業免除の権限を持つ特別な存在だ。


特Sに所属する彼らがクラスに現れることは稀でこの学園の会計と生徒会会長に至ってはクラスメートの顔すら覚えていないのではないかという噂すらあった。






――――だから、ぶらりぶらりと獲物を見つけて歩く"狐のお参り"に特Sクラスへと続くその廊下はざわつき立っていたのだ。


特に特Sクラスの隣人、生徒会に良い感情を持たないと噂される特Aクラスの生徒達は皆不穏な光をその目に宿していた。


―――そんな彼らがおずおずと静かに道を開ける様子はどこか違和感すら窺える。







「――――Let the good times roll ... ..Come on baby ..」



気まずげに逸らされる視線を笑って神崎卓はただ歌をただ口ずさんでいた。






――――分を弁えたお利口さんは遊び相手には向いてはいない。


怖気づいて遊びに踏み切れない相手と駆け引きしたところでゲームが盛り上がることはないからだ。






――――だから、去勢された意気地なしの雄どもに用はない。



無謀だと知っていながら飛びかかるそんな無鉄砲な奴ほど楽しませてくれるのだ。






「――――Let the good times roll..」





――――ちっぽけな怯えを綺麗さっぱり捨て去って醜悪なエゴと仲良くお手て繋いでダンスといこう。



すっと細められたその目が唇を噛む生徒たちの表情を捉えた。






「―――All night long...」






――――沈黙を守る廊下に『さぁ、一晩中楽しませて』と色男の甘い歌声が不気味に響いていた。







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