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< 夜長月 >






―――夏休みの開けた夜長月。



残暑は日に日にその暑さを鎮め、過ごしやすい緩やかな風がヒートアイランドを冷やす。

私立蓮見高等学校の正面入口へ続く桜坂は相変わらず生徒達でごった返していた。







―――――ブォォォォォォッ。




澄み切った朝の空気を一台のアメリカンバイクが我が物顔で通り行く。

振り向いた生徒達を横目に排気ガスを撒き散らしながら、そのバイクはその名の通り"影を切り裂いて"いくのだ。






―――――ウォォォォォォッン。




太陽の光を受けて輝くその車体には学園でその名の知れた二人組が乗っていた。

何の躊躇もなく過ぎてゆくその後姿に生徒達の間にはざわめきが起こる。





『ねぇねぇ、神城先輩と園田先輩ってやっぱ付き合ってるのかな?』

『そうなんじゃない?だって夏休み過ぎてからいつも一緒にいるもん。マジ凹む〜』





『おお、天才のやることはやっぱハデだね。あー俺もあのお綺麗な面で一発やりてぇぇー』

『オマエ言うねー。俺はタイプじゃねぇよ。冷たそうじゃん?』







―――抱きたい男No.1『クールビューティーな園田雪夜』と抱かれたい男No.1『女たらしの天才神城怜』が付き合っているのはでないか、そんな噂が私立蓮見高等学校を賑わせていた。






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あきゅろす。
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