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セクシーマンの嘆き
――-なぁ、陣よ。
俺らってツルんでから、もう5年立ってんだぜ。
おまえ、知ってたかよ?
はっきり言って俺とおまえは世間一般的にも‘いい男’。俺は今時、長髪、パーマの黒髪だけどよ。
ほどほどに日焼けした肌にはうまく合うし、身長もおまえほどでもねぇけど180近い。端整な小顔だし、スタイルの良さにも自身あるぜ?
おまえはおまえで、白く色抜いた短髪はおまえのその冷淡な顔にはぴったりだな。
スレンダーな俺よりはごっついけど、その分タッパあるし、モデルも顔負けのスタイルだもんな。
―――まあ、どっちかっていやぁ俺たちは爽やかな‘正義の味方’よりは‘自己中の悪役’で、‘いい男’よりは女を食って捨てる‘悪い男'だろうがな。
――――セクシーな俺とクールなおまえ。
俺ら一体、何人の女泣かしてきたかしれねぇよな(笑)?
――――でもなぁ、陣よ。
そろそろ潮時か?
俺、最近気づいちまったんだよ。
『んな面倒なもん、見て見ぬ振りしろよ』
そう、おまえなら言うかもしんねぇな。
でも、もうそれじゃ遅せんだよ。
・・・・・もう今更なんだよな。
俺が5年もおまえの傍で‘かっこいい男’を演じてき理由ってやつは、さ。
『勉強も出来て、運動も出来て、尚且つ遊びも一流。
そのくせ、悪で、セクシーで、クールな西崎君』
―――それが俺。
おまえといた5年間の俺だ。
なんて“おまえの隣にいてふさわしい存在”なんだっておまえ思わねぇ?
俺、思わず笑っちまったよ。
純情過ぎて、おかしくてさ。
そんで、嫌でも認めざるを得なかったね。
―――長年の悪友に欲情する理由ってやつをさ。
幾人もの女を抱くその厚い胸板で、喘いで仰け反って壊れちまいたいって思う。躊躇なく嘘を吐くその酷薄な唇に、濃厚なキスをぶちかまして溶けて一つなれたらいい。誰にも伸ばされないその力強い腕に、息も出来ぬほどに思い切り抱きこまれたい。
ああ、俺って奴は聡い故に愚かだぜ。
冷酷で残酷で無感動・無関心のおまえが恋愛なんてもんするわきゃねぇし・・・。まして、おまえがナニのついてる男を性欲の対象にするわけもねぇ。
んなこと、俺が一番よく知ってるよ。
―――悟ったうちから失恋だぜ?
この‘俺’が。
こりゃ、泣かした女の恨みか?
ま、なにはともあれ、はなっから勝てねぇ喧嘩は売らねぇのに限るさ。
けどよ、陣。
――――マジで俺の初恋、返してくれよ。
End.
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