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< 狼の逆襲 1 >







―――――ガタガタガタッ!!



狼の巣穴に投げ入れられた神崎卓は、倒れた机の角と衝突した背中に思わず呻き声を上げる。



―――周囲にはなぎ倒された机と椅子が円となって異常な教室の光景を醸していた。



椅子の足が直撃した脇腹を抑えて、卓は悠然と立っている男を見上げる。





「――――――はっ、やってくれるね、コーヘー君」


しかし、睨みあげた視線は夕日に逆光した男の顔を見ることはできなかった。








――――ガンッ!!!



蹴りだされた足に脇にあった机が他の椅子や机を巻き込んで宙を吹っ飛ぶ。









「――――煽ったのは、オマエだろ?なぁ。色男、この責任、きっちり取ってもらわねぇとな」






―――逆光の黒い影は床に転がる卓に近づいた。







「――――俺は忠告してやったぜ?ふらふらすんなってな」




胸ぐらに伸ばされた腕を払うと今度は逆の手が卓の胸ぐらを掴んで、ぐっとシャツを持ち上げるのだ。



―――息苦しさに喘ぐ卓の瞳を怒りに燃えた視線が焼き尽くす。






「――――全校生徒の前でオマエを素っ裸にひんむいてそのまま突っ込んでやったていいんだぜ、俺は。それをわざわざ遠慮してやったんだ。優しいだろ?俺の愛は」







――――ドンッ!!




そのままシャツごと投げ捨てられた体が後方へと飛ばされた。

背中に再び衝撃を抱えた卓は仰向けになった体をすぐに起こすことは出来ない。







――――夕焼けをバックに黒い人影はゆっくりとその獲物に伸しかかっていった。





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あきゅろす。
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