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< 悪魔の花嫁 >




―――悪魔の花嫁は究極に照れ屋な俺様である。




「―――あの、晶さん?」

診療室の椅子に腰かけた白衣の花嫁はそっぽを向いたままである。

腕を組んだまま黙ってしまった恋人に黒装束の悪魔がおろおろと後ろを徘徊していた。




―――事態はにっちもさっちもいかない状況である。

とりあえず情けない花婿は男前の花嫁の脇に立ち、ニヘラと笑って見せた。




「―――どうも悪魔です」

その言葉にぎょっとした花嫁が思わず怒鳴る。



「この馬鹿がっ!」



―――悪魔が悪魔と名乗ってどうするのか。

やはり馬鹿な花婿には任せられないとしぶしぶ晶はこちらを向くのである。




「―――怪我した時ぐらいは連絡してこい。見てやらないこともねぇ。まぁ、なんだ?・・・・いつも助かってる」

―――おそらく言いたかったのは最後の一言なのだろうけれども、照れ屋な俺様はそう簡単には素直にはなれないのである。

頬を染めてそっぽを向く花嫁にニンマリうれしそうに悪魔が笑っていた。






――――しかし、神様は悪魔の花婿には優しくはない。




「―――オマエ、今笑ったろ?」


「・・・あははっ、ゴ、ゴメンナサイっ!」



――――花嫁が拳を握ったなら、それはこの診療所がさらに賑やかになる合図なのである。


End.

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