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< クラウンゲーム >
The blind is never afraid of snakes.
「――――盲蛇におじず。鈍感こそ強しってね」
校舎の壁に寄りかかる神崎卓の皮肉げな笑みが覆いかぶさるデカイ体の肩越しにちらりと見える。
―――馬鹿な管理人に向けたニヤリと張りつくようなそれはやはり食えないひねくれ者の笑みだった。
「――――で、コーヘー君は何してんの?」
壁に卓の体を閉じ込めて片腕ついた真田晃平は無言で愉快犯を睨みつけた。
「―――羞恥プレイをご希望?」
観客がいることを揶揄した言葉に、一瞬ちらりと晃平の視線が向けられる。
「――――はっ、羞恥プレイで恥ずかしがるタマか」
鼻で笑った晃平は乱暴に卓の胸ぐらを掴んでその減らず口を塞ぎにかかった。
「――――"御礼"言わないとさ、コーヘー君味方いなくなっちゃうよ?」
―――唇が触れ合う直前、またしてもニヤリと笑う狐に狼が嫌そうに顔を歪めた。
「――――黙れ」
肩を竦めてホールドアップした卓の唇はすぐに噛みつくように奪われる。
――――挙げられた手がひらひらとこちらに向かって振られていた。
ほどなくしてそれに気づいた狼が往生際の悪いその手を捕まえる。
―――サァァ。
放課後の校舎には風が木の葉を揺らす音だけが響いていた。
End.
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